法人設立するなら「株式会社」と「合同会社」どちらが良いの?

不動産投資を本格的に行う場合は、個人として管理するよりも、法人化した方がメリットは大きいとされます。そして、法人設立の際には、「株式会社」にするのか、「合同会社」にするのかという選択肢が出てきます。今回は、不動産投資における法人設立のメリットや「株式会社」「合同会社」の違いなどについて考えてみます。

法人設立のメリットとは

不動産投資を法人設立して行う最大のメリットは節税でしょう。
個人の場合は、所得が高ければ高いほど納税額が高くなる累進課税が採用されています。一方、法人の場合は、2016年度実施の税制改正により法人減税が行われたほか、課税所得が増えても税率が変わらない比例税率(固定税率)が採用されています。また、法人税には各種の優遇措置が用意されていて、資本金が1億円以下の法人の場合、年間の課税所得が800万円以下であれば、15%の軽減税率が適用されます(年間所得800万円超の部分は、25.5%の税率が適用される)。
また、家族などを法人の役員にして、収益を役員報酬で分配すれば経費として計上できるため、法人所得を減らすことが可能で、結果的に大きな節税効果をもたらします。
この他にも、物件売却時の譲渡税は、個人の場合短期譲渡(所有期間5年以下)約39%、長期譲渡(所有期間5年超)約20%なのに対して、法人の場合は30%前後です。つまり、短期間で物件を売却する場合は、法人が有利というわけです。また、大規模修繕のための資金を用意するために生命保険を利用して積み立てるケースがありますが、法人では保険料を経費計上して全額控除する方法もあります。これらのメリットは法人ならではと言えるでしょう。

個人と法人はここが違う

1.不動産投資を始める際の手続き

個人で不動産投資をスタートする場合の手続きはシンプルです。投資用不動産の購入後、税務署に開業届を出すだけです。法人の場合は、会社の設立登記・印鑑作成、法人名義の口座開設、税務署・県税事務所・市区町村へ開業届の提出が必要となります。手続きに時間や手間がかかるため、司法書士や行政書士に依頼するケースが多いです。

2.確定申告

不動産所得を得るようになったら、確定申告する必要があります。確定申告には、一般的な「白色申告」と、最大で65万円の特別控除が受けられる「青色申告」の二つがあります。個人の場合は、物件数などから、白色申告が選ばれるケースが多いです。なお、青色申告をするためには、不動産投資が「事業的規模」(アパート・マンションなら賃貸できる部屋数がおおむね計10室以上、独立する家屋なら5棟以上)である必要があります。しかし、法人になると、最大で65万円という青色申告の特別控除が利用できなくなります。このため、ケースによっては、課税所得が増えて、納税額が増える可能性があります。

株式会社と合同会社の違い

不動産投資を法人設立して行う場合、主に「株式会社」か「合同会社」のどちらかを選ぶことになります。それぞれの特徴について知っておきましょう。

1.株式会社

・株式会社設立の際には、定款認証料と登録免許税(約15~20万以上)がかかる
・役員に任期があるため、改選ごとに法務局で役員変更登記を行うほか、官報・電子公告などに決算公告を行う義務がある(どちらも有料)
・配偶者や家族などを社員にして給料を支払う場合、出資比率に応じて報酬が決まる
・その他にも、株主総会の実施、取締役の設置などが必要

2.合同会社(LLC)

合同会社は2006年の会社法で、有限会社の代わりとして設けられました。
・会社設立の際にかかる費用は、登録免許税の約6万円程度
・役員の任期や、決算公告義務はない
・出資額と報酬は関係ないため、配偶者や家族を社員にする場合、少額の出資であっても自由に給料を支払うことができる
・取締役の設置などは必要ない
住民税課税、決算申告代行料、税理士への顧問料など、法人としての運営コストは、株式会社も合同会社もかかります。

合同会社は手軽でメリットも多い

不動産投資を法人化する場合、資産管理が主な目的なのであれば、株式会社よりも合同会社を選んだほうが、コストや手間がかからず、メリットも多いと言えそうです。
もし、合同会社のデメリットをあげるならば、それは「肩書き」でしょう。株式会社の代表者は「代表取締役」となりますが、合同会社の場合は、「合同社員」という、あまりなじみのない肩書きになります。また、聞きなれない合同会社よりも、株式会社のほうが、社会的信頼を得やすいかもしれません。
しかし、「法人格」を取得しているという点で、両者は同じです。一般的にビジネスの現場では、個人事業主よりも法人は信用力が高くなると考えられます。金融機関から融資を受ける上で、信頼されやすくなる可能性があります。
なお、合同会社から株式会社に組織変更登記手続きを行うことは可能です。最初は合同会社でスタートしたが、後々「不動産投資を主な事業として行っていきたい」「複数人の従業員を雇いたい」などの場合、株式会社に変更することができます。
不動産投資を法人化する場合、合同会社を選ぶデメリットはあまりないと言えるかもしれません。株式会社と比較して、まだ社会的知名度は低いかもしれませんが、節税やコスト削減を法人化の目的とするならば、合同会社でも十分なのではないでしょうか。
手始めに、個人事業主として不動産投資を始め、ある程度の収益が得られるようになったら合同会社を設立し、事業が成長してさらに規模を拡大しようとなった時、いよいよ株式会社に変更するというのが理想なのかもしれません。