赤字の大家さんがするべき仕訳と決断

不動産投資の赤字は2種類あると言えます。一つは損益計算書における赤字です。収益よりも経費が多く、損が出てしまったマイナスの決算です。もう一つは、キャッシュフローにおける赤字です。こちらは現金の入出金の差額ですから、入ってくる現金よりも出て行く現金が多ければ赤字ということになります。
そこで今回は、基本となる損益計算書が赤字になってしまった大家さんが、区別・分類する仕訳で、どのような対応策が取れるのかを考えてみます。

赤字事業の改善は入居率から

まずは、事業としての収益に注目すべきです。赤字の大家さんの「物件の稼働率=平均入居率」はどのくらいでしょうか。空室問題が叫ばれるなか、平均入居率70%の大家さんも珍しくなくなってきました。
つまり、10室のアパートの場合は、年間を通じて常に3部屋が空いているような状況です。一方、退去前からリフォームや募集の準備をすることで、最短で客付けし、95%以上の入居率を誇っている大家さんもいます。
本来は変動費も加味しなければなりませんが、損益分岐点に到達するために、どの程度まで入居率を上げたらいいかを概算で出してみます。
損益計算書の損金÷平均月額家賃 = 上げるべき入居率
所有戸数×12ヵ月
例)(年間赤字)△100万円÷(平均家賃)5万円 = (上げるべき入居率)17%
(所有戸数)10戸×12ヵ月

目標とする「上げるべき入居率」が明確になったところで、賃貸物件情報サイトを利用して、物件の近隣状況を調べます。気を付けるべきは以下の2点です。
まずは「設備」です。類似物件を詳しく調べてください。モニター付きインターホンや防犯カメラなどセキュリティを強化した物件、温水洗浄便座や家電付き物件、インターネット利用し放題物件など、魅力的な特典をつけているものがあるかもしれません。
もう一つは「家賃」です。同じような築年数や広さの物件の家賃はいくらでしょうか。購入時には近隣の類似物件を調べて、家賃を設定した大家さんでも、毎年調査することはあまりないでしょう。物件は古くなり、いつのまにか、近隣で一番高い家賃設定になっているかもしれません。
目標入居率を達成するためには、設備を充実させたり、家賃を下げたり、あるいは両方を行うなどして、入居希望者から「問い合わせ」してもらえるだけのスペックにする必要があります。
実際に客付けをしてくれる不動産会社への営業についても考えてみましょう。物件を自主管理している大家さんは、空室のたびに何件の不動産屋さんに客付けをお願いしているでしょうか。訪問後の電話やメールでのフォロー状況はどうでしょうか。
遠方の物件などの場合は管理会社が鍵です。管理会社も千差万別ですから、95%以上の高い稼働率を訴求している会社がある一方で、実績も教えてくれず、営業のフットワークも良くない管理会社もあります。管理会社に問題がある場合は、管理会社の変更も視野に入れます。

資産として所有し続けるか、売却すべきか

次に、事業の黒字化とは別に、資産としての価値を検討します。投資物件の専門業者に査定してもらう良い機会かもしれません。今後の空室率や家賃下落率を考慮するとともに、現時点での査定金額が今後上がるか、下がるかの予測を行います。予測は予測ですから、外れることもあります。
しかし、今の赤字にだけ、目を向けるのではなく、資産としての側面も考慮して、保有すべきか、売却すべきかを考えます。
満室にしてから売り出したほうが、高く売れる可能性は高まります。しかし、市場の動向から大きな影響を受けることもあります。さまざまな工夫にも関わらず、空室期間が長くなってきた物件は、売却して別の物件に入れ替えることを検討すべきかもしれません。

「黒字倒産」のリスクにも要注意

特に気を付けるべきは、損益計算書が黒字にもかかわらず、キャッシュフローの赤字が続き……いわゆる、黒字倒産する可能性がある時です。
黒字倒産につながる理由は、例えば経費として計上できる減価償却費よりも、経費として計上できない返済元金(現金支出)が上回り、多額の税金を払わなければならないケースなどです。黒字倒産にならないように自身で勉強するか、もしくは、不動産投資に詳しい税理士の方に相談することをお勧めします。
赤字の大家さんは、事業の見直しとともに、資産を一度見直しましょう。入居者の目線で、周辺環境や設備を改めて確認しましょう。管理会社の働きぶり、実績も見逃せません。黒字になり得る物件だったとしても、資産として保有し続けるべきかどうかは別の問題です。まずは現状を把握しましょう。
そして、事業と資産の両面から物件を定期的にチェックするのです。それがあなたの不動産投資を成功に導くことでしょう。