2017年のREIT市場で見えてきた超低金利政策で忍び寄る影とは

「物件が買えない…」そんなため息がREITのアセットマネージャー達から聞こえてきそうです。2017年はREITの物件取得を担当者にとっては苦難の年でした。
REITの時価総額は2016年12時点では12.1兆円であったのに対し、2017年12月時点においては11.5兆円へと落ち込んでいます。2017年はREIT市場には一体何が起こっていたのでしょうか。
今回の記事では、2017年のREIT市場を振り返り、超低金利政策が生んでいる「忍び寄る影」について見ていきます。

物件購入に苦戦した2017年

2017年11月末時点において、REITの物件取得額は11カ月間で1.30兆円となっています。一方で、2016年は1年間で1.77兆円物件を取得しています。単純に11ヶ月分に換算しても、2016年は11ヶ月で1.62兆円の物件を取得していることになります。
つまり、2017年のREITは2016年よりも物件を購入しておらず、物件の購入に苦戦した年であったということが言えます。

難しい舵取りが続くREITの運営

REITは投資家への配当を維持しつつ、健全なポートフォリオを維持または成長させるという至上命題を抱えています。実は、これはかなり矛盾した命題です。
例えば、個人投資家がアパート1棟を持っていたとします。アパートは、放っておけば築年数が古くなり、空室や修繕費も増え、収益が下がります。収益を配当と見立てれば、配当は下がり、ポートフォリオとしては不健全な方向に向かうのが通常です。
これはアパートに限ったことではありません。賃貸不動産は、オフィスや商業施設も築年数が経過すれば配当が落ち、ポートフォリオの内容も自然と悪くなるという宿命を負っています。
では、逆になぜREITは配当を維持しつつ、健全なポートフォリオを維持または成長させることができるのでしょうか。
それは、REITは常に物件を入れ替えているためです。REITは毎年のように収益の悪い物件や築年数の古い物件を売却し、収益が良く、築年数の若い物件を購入しています。
REITは常に物件の売買を繰り返すことでポーロフォリオを健全な状態に保っています。REITにはアセットマネージャーと呼ばれる人たちがいますが、彼らは物件の購入と売却を仕事としています。
またREITは、ポートフォリオを健全な状態に保つ他に、利回りを維持しなければなりません。単純に古くなったものを売り、新しいものを買っているわけではありません。
2017年のように物件価格が高騰している時期は、市場に売りに出ている物件の利回りがとても低くなっています。このような時期に物件を購入してしまうと、今度はポートフォリオ全体の利回りを押し下げることになります。
アセットマネージャー達は、常に物件を買わなければいけないにも関わらず、買えないというジレンマに直面しているのです。

物件が買えない原因と忍び寄る影

物件価格の高騰の原因は、マイナス金利政策によるものです。カネ余り現象によって不動産市場へ資金が流れ込んだことから、物件価格の高騰が続いています。その結果、利回りが下がりREITが物件に手を出せなくなっているのです。
実はこのような状況は長い目で見ると良くありません。物件の購入ができないと、ポートフォリオが成長しないどころか、悪化していく原因にもなります。
REITが保有している物件に魅力がなくなっていけば、投資家もREIT市場から引き揚げてしまいます。
ここ数年、超低金利政策がREIT市場を活性化してきましたが、今度はその超低金利政策によって物件購入が阻まれ、REITの成長に影を落とし始めています。超低金利政策が続けば、2018年もこの影がさらに長くなる可能性はあり得ます。

まとめ

2018年も購入が難しい状況は続くかもしれません。今年もREITがどれだけ物件を購入できるか、注視しておきましょう。