進む異業種からのリフォーム・リノベ参入

従来は住宅関連産業のフィールドだったリフォーム・リノベーション市場に、異業種からの参入が相次いでいます。
不透明な価格・費用を明確化することで一石を投じたAmazonなど大手ECサイトに加え、アパレルや大手百貨店など、独自の強みをリフォーム・リノベ市場で発揮する企業も増えており、新たな展開が見られるようになってきました。

住宅市場は新築から「リフォーム・リノベ」へ

国内では長期的な人口減少が予想される中、新築住宅に対するニーズは今後低下していくものと考えられます。
野村総研が発表したデータによると、新築住宅の着工戸数は今後、右肩下がりで減少すると予想されており、2015年には92万戸あったのが、2030年には54万戸と4割以上も減少すると見込まれています。
一方、深刻化する空き家増加への対策もあり、中古住宅の活用については政府が後押しする動きが見られます。良質な中古住宅のストックを増やす方針により、リフォーム需要は下支えされると考えることができます。
野村総研のレポートでも、人口が減少する中、リフォーム需要は横ばいで推移すると予想されており、多様な事業者から注目が集まっています。

従来は住宅関連業者のフィールド

リフォーム産業は従来、住宅関連事業者の市場とされてきました。リフォーム専門業者はもちろん、通常、リフォームを依頼する先として思い浮かぶのは、住宅メーカー、デベロッパー、設計事務所などでしょう。
さらに住宅設備・部品メーカー、電気・水道・ガスなどの設備工事会社や、塗装・屋根・内装などの工事会社、不動産仲介会社などが手がけるケースもしばしば見られました。
最近では家電量販店やホームセンターなどの事業者も参入していますが、上記同様、住まいとそれなりに密接な関係がある業界と言えます。

注目を浴びているECの参入

そんな中、住宅と関係が薄い業種からの参入として、近年注目されているのが大手ECサイトのリフォーム・リノベ参入です。世界最大のECサイトとされるAmazonや国内EC大手の楽天、ポータルサイト大手のYahoo!などの参画は大きな話題となりました。
ECサイトが提供するサービスの特徴は、全国一律の定額販売や追加費用なしなど、透明化された価格・費用の提供です。それまで消費者からは「わかりにくい」などの声が上がることも多かった業界だけに、ECサイトのサービスは一定の支持を得始めています。
一方、施工する会社は別なので、工事の品質にばらつきがあるなどのトラブルもしばしば報告されています。2017年にリノコを手がけていたグリーが撤退するなど、市場の動きはまだまだ流動的です。

アパレルや大手百貨店も独自戦略

異業種参入の中でも、本業の特性を活かして注目されているのがアパレルや大手百貨店です。有名アパレルのユナイテッドアローズは不動産の仲介や中古マンション再生を本業とするグローバルベイスと組んで、新たな価値を包含するリフォームを提供しています。
内装デザインや家具の製作をユナイテッドアローズが担当し、アパレルならではのスタイリッシュに統一された雰囲気を物件にもたらしています。一見すると、関係性が薄いようですが、店舗のような「見せる収納」など、アパレルだからこそ実現できることは多いと言います。
センスや信頼性という特徴を武器に、リフォーム・リノベ市場に参入しているのが大手百貨店です。顧客に富裕層が多いことを活かして、設計や管理を請け負う他、高級家具を売り込むなど、他の業種にはない強みで売上を伸ばしています。
住まいは多くの部材や機能、デザインといった要素で構成されており、魅力アップに関わることができる産業は実は多様です。異業種から参入する事業者の多くは、本業の特性をリフォーム・リノベにおいて活かすケースが多いので、依頼する側にとってはニーズに合う事業者を選びやすくなってきたと言えそうです。