都心の不動産投資での注目エリアを小田急線から探る

武蔵小杉駅(神奈川県)などのように、近年、交通の利便性が劇的に改善されることで、周辺エリアの住宅地としての需要が一気に高まるエリアがふえています。最近、都心への交通アクセスが改善されると注目を集めているのが、小田急線沿線の駅です。
念願の複々線化が完了し、2018年3月から小田急線のダイヤが大きく変わることが明らかになりました。新宿までの乗車時間も大幅に短縮され、電車の本数もふえるため、乗車率も軽減される見込みです。そこで、小田急線沿線の駅の中から、特に住宅地としての需要が上がりそうなエリアについて考えてみました。

駅周辺の商業施設がふえている海老名

まず、注目すべき駅は神奈川県にある海老名駅ではないでしょうか。2015年、駅西口から徒歩5分といった非常に近い場所に、大型商業施設である「ららぽーと海老名」がオープンしました。この影響で、それまで閑散としていた西口周辺の開発が一気に進みました。駅周辺の環境が改善されつつあります。
また、タワーマンションも続々建設中で、大手不動産デベロッパーが高い関心を示しているようです。以前は神奈川県中央部で、都心へのアクセスがあまり良くはなかったことから、地価も手頃で一般的な年収のサラリーマンが戸建て住居を購入しやすいエリアでした。
しかし、海老名駅は小田急ロマンスカーの停車駅であり、通勤にも観光にも便利な場所です。今後は小田急線だけではなく、海老名駅を通る相鉄線がJRや東急への乗り入れを開始する予定なので、海老名から渋谷などに直接行けるようになります。
もちろん、小田急線の複々線化の効果は大きく、これまで朝のラッシュ時には新宿まで60分だった所要時間が、改正されたダイヤをみると51分にまで短縮される予定です。
また海老名市は、神奈川県中央部では数少ない人口が増加している自治体です。住環境が良くなり、交通アクセスが改善された影響で、若い世代が住むようになり、人口も出生数が死亡者数を上回っており、自然増となっています。このように成長著しい海老名は、第二の武蔵小杉になるのではないかという期待が集まるエリアなのです。

新宿への到着時間が10分以上短くなった町田

小田急線沿線では新宿に次いで2番目の乗降者数を誇るターミナル駅が町田です。小田急線だけでなくJR横浜線も通っているため、横浜や相模原方面、そして新宿にもアクセスできます。東西にも南北にも自由にアクセスできる非常に便利な駅です。
今回のダイヤ改正、そして複々線化の大きな恩恵を受けるのが町田駅です。これまで朝のラッシュ時は新宿駅まで48分もかかっていました。しかし、新ダイヤを見ると所要時間38分です。なんと10分も短縮されるのです。町田駅は小田急線快速急行の停車駅でもあり、本数増加の影響も大きいため、乗車時間短縮の恩恵は、海老名駅よりも大きいと考えられます。
また、町田駅周辺は大型家電量販店やGMS(総合スーパー)、百貨店など、以前から数多くの商業施設があり、繁華街も広がっているため、駅から徒歩10分圏内にはあまり住宅がありません。それだけに、駅から非常に近い場所にタワーマンションが建てられたら、一気に需要が殺到するかもしれません。

京王線との競争に差をつける多摩エリア

東京都西部の多摩エリアは、これまで小田急線と京王線が、激しい乗客獲得競争を行ってきました。永山駅や多摩センター駅は小田急・京王双方の駅が設けられており、京王線の乗降者数が勝っていました。新宿までの所要時間は、朝のラッシュ時は同等ですが、日中は特急のある京王線を使うと、小田急線よりも短くなります。
そこで小田急線は小田急多摩線の利便性の向上にも力を入れたようです。例えば、小田急多摩センター駅から大手町などに乗り入れる千代田線との乗り換えができる代々木上原駅まで、従来は43分かかっていましたが、今回のダイヤ改正で33分と短縮されました。多くのサラリーマンたちの通勤時間を減らすことになり、これまで多摩エリアから都心へのアクセスで差をつけられてきた小田急線が、京王線に負けないものになりました。
小田急多摩線は全体的に乗降車数がふえており、人気は上昇傾向にありました。その傾向が強まり、沿線の賃貸不動産物件の需要が増加することが期待されます。もちろん通勤時間の問題だけでなく、沿線の駅周辺の環境が魅力的かどうかも大切ですが、小田急線の利便性向上が周辺地域の人口増加や商業施設の開発につながる可能性を高めています。

鉄道各社の計画に注目しよう

今回は小田急沿線の注目エリアについて考えてみました。都心に乗り入れる私鉄の中で、複々線化が一部の路線でしか実現できていなかった小田急。その小田急がこのたび大きな複々線化を図ったことで、混雑緩和と時間短縮において目覚ましい改善が期待されます。
他の路線との乗り入れ計画はまだ発表されていませんが、今後は他線との相互乗り入れも含め、さらに利便性が改善され、さらに波及効果が生まれると予想できます。不動産投資家としては、こうした鉄道各社の事業計画には特に注目していきたいものです。