アパートの「形」を決める「用途地域」について知ろう

都市計画法に「用途地域(ようとちいき)」という地域区分が定められています。用途地域を定めることの目的は、一定の地域内に似た用途の建物が集まり、その用途に合わせた地域が形成されていくよう促すことにあります。アパート経営を行う場合も、用途地域の定めについて理解し、その地域ではどのようなアパートが建築できるのかを、知っておいたほうがいいでしょう。

都市計画法の「用途地域」の指定はなぜ行われるのか

マガ男:アパート経営を考えるようになってから、街の様子をよく観察しているのですが、たとえば都心部にあるような高いビルが、僕たちの住む住宅地に建設されることって少ないですよね?
タテ吉:いいところに気づいたね。実は「都市計画法」という法律がある。その中で「この土地は、この用途に使いましょう」という指定を受けることを「用途地域の指定を受ける」というんだよ。
マガ男:用途地域というのは、なぜ指定されるのですか?

地域のスムーズな発展のために

タテ吉:もし僕たちが住んでいる地域に、繁華街のようなにぎやかな店や高層ビル、工場などがめちゃくちゃに混在していたらどうだろう?マガ男君はそんな地域で生活したいと思うかな?
マガ男:確かに、騒音やゴミの問題もあるし、人の出入りも多いだろうし、空気のきれいさも……。そこに長く住みたいかというと疑問です。
タテ吉:そうだよね。人が暮らす家は、人が暮らしやすいエリアに集まっていたほうがいいし、工場は工場群の中にあったほうがいい。そのほうが生活や商売を、効率よく運用していけるからだ。だから用途地域の定めを行うんだよ。

用途地域の具体的な区分とその意味を知ろう

マガ男:用途地域というのは、具体的にどのような種類があるのですか?
タテ吉:まず住居系、商業系、工業系の3つの用途に大きく分けられている。このうち商業系の地域は、店舗や商業関係の施設にとっての利便性を重視する地域で、具体的には「近隣商業地域」「商業地域」がある。「商業地域」には、高層ビルも建てられるんだよ。
マガ男:では、工業系の地域は工場などが立ち並んでいるというイメージでしょうか?
タテ吉:そうだね。「準工業地域」には環境悪化のおそれがない工場を建てることができて、住宅や商店を建てることもできる。「工業地域」にも住宅や店舗を建てることはできるけれど、「工業専用地域」には住宅や店舗は建てられないよ。

住居系の地域について知ろう

マガ男:では、住居系の地域にはどのような区分があるのですか?
タテ吉:さっきマガ男君は「住宅地の中に、突然高層ビルがそびえたっていたりしない」ということに気づいたよね。実は、住居系の地域の中でも「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」は、低層住宅の良好な住環境を目的とした地域なので、高層ビルなどは建てられないんだ。
マガ男:そうだったんですね。では、アパートを建てる場合は他の地域のほうがいいのですか?
タテ吉:そう一概には言えないよ。小規模で低層のアパートを運営する方法もあるし、住宅地ならではの静かな住環境を好む人は多いから、アパートへの需要があるかどうか調査してから決めても遅くはないよ。

住居系地域は7つの区分に分かれている

マガ男:低層住居専用地域があるということは、高層マンションが建てられる地域などもあるのですか?
タテ吉:そうだよ。第一種中高層住居専用地域や第二種中高層住居専用地域がそれにあたる。これらの地域は、中高層住宅の良好な住環境を目的とした地域なんだ。
マガ男:疑問が1つあるのですが、居住系の地域には店舗や工場を建ててはいけないんですか?たとえば中高層住宅に住んでいる人は数が多いですし、買い物ができないととっても不便だと思うのですが。

住居系地域にも住居以外の建物を建てられることも

タテ吉:そうだね。買い物をしたり、学校や病院に行ったりすることも含めて、私たちの生活が成り立っているんだから。第一種中高層住居専用地域には500m²までの一定条件の店舗などを建てることができるし、第二種中高層住居専用地域には1500m²までの一定条件の店舗や事務所などが建てられる。先に紹介した低層住宅専用地域にも一定の範囲の店舗を建てることはできるよ。
マガ男:そうだったんですね。少し安心です。アパート経営を行うには、この地域がよいのでしょうか?
タテ吉:住居系の地域の区分は他にもあるのだけど、アパート経営が成功するかについて言えば、「住居系だから成功する、工業系だからダメ」とは一概に言えない。ただ、用途地域ごとに、建てられる建物の大きさや容積率、階数などの制限があるから、マガ男君がどんなアパートを建てたいか、その経営計画と地域が合うかどうかが重要になるね。