増える「おひとりさま」の住宅購入

結婚して家庭を持つことを人生における必須のライフスタイルと考えず、単身で自立して生活する「おひとりさま」が増えています。
かつて単身者は賃貸住宅というのが常識でしたが、近年はそんな「おひとりさま」が住まいを購入するケースも珍しくなくなってきました。

非婚化で増える「おひとりさま」

非婚化傾向が進む近年、単身で自立して暮らす「おひとりさま」が増えています。生涯未婚率は2000年には男性12.57%、女性5.82%でしたが、2015年には男性で23.37%、女性14.06%と急増しました。
15年間で男性の未婚率が約2倍に、女性の未婚率が約3倍に増えた背景にあるのは、ライフスタイルの多様化です。結婚しなければならないという常識が薄れてきたため、生涯未婚を選ぶ人が増えていると考えられています。
生涯を1人で過ごすのは寂しいのでは、といった懸念もありますが、最近では友人同士でルームシェアをするなど、住のかたちも多様化してきました。単身=孤独ではなくなってきたことも「おひとりさま」の増加に拍車をかけていると言えそうです。

投資も視野に? 住宅購入の目的はさまざま

 
国内では長く、「単身者は賃貸、家族ができたらいずれは持ち家」というのが住まい方の常識とされてきました。ところが近年は「おひとりさま」が増える中、単身で住まいを購入するケースが増えています。
購入動機は「家賃がもったいない」「老後の安心のため」「投資物件にできる」など多様です。ただし、将来に対する不安から持ち家を選択するケースが多いのが単身者の特徴です。
賃貸住宅の場合は、孤独死や病気で家賃を支払えなくなるなどのリスクが大きいため、高齢になると敬遠されるケースが少なくありません。住まいを確保できなくなる危険性があるため、リスクへの備えとして持ち家を指向するケースも多く見られます。
また、よりよい住空間を求めて物件を購入する人もいます。集合住宅の場合には、一般的に賃貸物件より分譲物件の方が専有面積が広く、建物の質も高めです。「おひとりさま」の場合には配偶者と住まいの好みが分かれることがないので、自分の好きな物件を買えるというメリットがあります。

不動産・金融業界も「おひとりさま」に注目

高まるニーズを受けて、不動産業界でも近年は「おひとりさま」に注目する企業が増えています。
野村不動産が提供する不動産情報のポータルサイト「ノムコム・ウーマン」は代表的な取り組みの一つです。単身女性の住宅購入をサポートするHPで、物件購入に関連するさまざまな情報を伝えるほか、物件の紹介なども行っています。
金融では、りそな銀行が提供する女性向け住宅ローン・借り換えローン「凛 next」など、「おひとりさま」に特化したサービスも見られるようになりました。同ローンでは、金利優遇や繰上返済手数料無料、ローン返済支援保険、三大疾病保障特約などの特典を設けて、単身女性の住まい購入をサポートしています。

おひとりさまが住まいを購入する際の注意点

利点が大きく、社会の注目も集まりつつある「おひとりさま」の住まい購入だが、注意点もあります。まず家計を1人で支えることになるため、病気や失職などによりローンの返済が滞るリスクが比較的大きいことは理解しておくべきです。
三大疾病などの病気になったらローンが免除される特約なども選べますが、最も長期入院の危険性が高いうつ病など精神疾患はカバーされていません。
女性の場合には、購入後に結婚や出産などによりライフスタイルが変化するケースが多いのも、留意しておいた方がよいポイントです。住まいを購入する際には、そういったリスクや変化の可能性を織り込んでおくことが欠かせません。
いざという時には持ち家を賃貸にするという方法もありますが、民間金融機関の住宅ローンを利用している場合には、金融機関が賃貸を禁止しているケースが少なくありません。フラット35なら返済中の賃貸が可能なので、あらかじめその可能性を想定した上で選択するのもよいでしょう。
将来の生活に不安が大きい「おひとりさま」にとって、住まいの購入は大きな安心感をもたらすというメリットがあります。不動産業者や金融機関なども単身者の住宅購入サポートを手がけるケースが増えているので、「おひとりさま」にとって住まいの購入は現実的な選択肢の一つと言えそうです。