不動産経営におけるインカムゲインとキャピタルゲインについて解説

株や不動産投資にはそれぞれインカムゲインとキャピタルゲインが存在します。インカムゲインとは資産を運用することで得られる運用益です。キャピタルゲインとは資産を売却することで得られる売却益になります。

アパート経営も不動産投資の一つであるため、インカムゲインとキャピタルゲインが発生します。

今回はアパート経営におけるインカムゲインとキャピタルゲインについてご紹介します。

インカムゲイン

不動産投資のメインの収益はインカムゲインです。株にも配当というインカムゲインがありますが、株で得られるインカムゲインは微々たるものです。そのため、株式投資をする人は、基本的にはキャピタルゲインを目的として行う人が多いです。


アパートにおけるインカムゲインの原資は賃料収入になります。賃料収入から土地建物の固定資産税、管理料、修繕費、建物保険料、建物維持費等を控除した純収益がNOI(Net Operating Income)と呼ばれます。


不動産投資では、一般的に年額のNOIをインカムゲインと認識します。NOIは土地を含めた投資額に対しては、3~5%となります。建物投資だけだと5~8%程度です。NOI利回りは土地代や建築費、家賃等によって変わります。


但し、実質的なインカムゲインであるキャッシュフローは少し複雑です。キャッシュフローを考える場合は、減価償却費と税金、借入金の返済を考慮する必要があります。


まずNOIを計算する上での固定資産税等の経費は賃料収入に対して高くても30%程度です。不動産賃貸業の実質的な利益率は70%程度です。


所得税を計算する上では、減価償却費も費用として認められます。減価償却費は賃料収入に対して、高々50%程度が一般的です。そのため、会計上の利益としては、諸経費と減価償却費を控除すると概ね20%が利益になります。税金はその利益に対し課税されます。


また借入金の返済がある場合は、元本返済がキャッシュフローから控除されます。元本返済は、自己資金が多ければ少なく、自己資金が少なければ多くなります。


よって、税金や元本返済を考慮すると、キャッシュフローは以下のような関係式になります。


キャッシュフロー = NOI - 税金 - 元本返済


実質的なインカムゲインを大きくするには、税金を抑えるために減価償却費の大きな築浅物件を選ぶことと、自己資金を大きくして元本返済を減らすことがポイントです。

キャピタルゲイン

アパートは築年数の経過とともに建物の価値が下がるため、時間の経過とともに建物価値が下がります。そのため、キャピタルゲインは、建物価格が落ちる速度よりも土地価格が上がる速度が速いときに発生します。


土地の価格は景気の状況に左右されて上下します。ここ数年、土地は値上りしていますが、地価の上昇率の高いエリアであれば、建物価格の下落速度よりも土地価格の上昇速度が速いためキャピタルゲインを得られる可能性があります。


バブル崩壊以降の土地価格は緩やかに上下を繰り返しているため、アパートでキャピタルゲインを得ることは難しくなっています。


最近では2013年あたりが土地の底値でした。たまたまそのタイミングでアパートを購入した人は、キャピタルゲインが得られた可能性があります。


土地の価格は都心部ほど上昇率が高いため、キャピタルゲインを得たいのであれば、東京23区内の物件などを狙うことになります。土地の価格は株価に遅れて動くため、キャピタルゲイン狙いの人は、株の動きを十分に注視する必要があります。

まとめ

以上、アパートにおけるインカムゲインとキャピタルゲインについて見てきました。アパート経営は、インカムゲインを得る方が簡単です。


まずはしっかりとインカムゲインが稼げる物件に投資を行い、キャピタルゲインは二の次くらいに考えておくのが良いでしょう。