売る前に知るべき投資用不動産を高く売却するための準備と税金を解説

投資用不動産の売却において、買主も基本的に投資家であり、ある程度知識を持った人が購入者となるため、売却の際には投資家目線で売却の準備をする必要があります。

また、投資用不動産は売却で発生する税金を節税できる特例が無いため、税負担が生じるおそれもあります。

そこで本稿では、投資用不動産を高く売却するための準備と税金について解説します。

高く売却するための準備

投資用不動産を高く売却するには、次の2つの準備が必要です。


1.空室は埋める
2.書類を整備する


1つ目の準備として、空室はなるべく埋めた状態で売却を行います。空室は物件価格が安くなる最大の原因となります。

投資用不動産の価格は、賃料収入から諸費用を差し引いた純収益を利回りで割ることで算出されます。この価格を「収益価格」と呼びます。


空室がある場合、投資家は空室部分の賃料を想定して収益価格をはじきます。空室が多い物件となると、空室部分の賃料をかなり保守的に想定されます。賃料が保守的に見られると、投資用不動産の収益価格が安くなります。もし空室が残っている場合は、なんとか埋めた上で売却活動に臨むようにしましょう。


仮に、なかなか入居者が埋まらない場合、フリーレント(最初の数か月を家賃無料とする契約形態)を活用し、賃料単価を下げずに入居者を埋めておくなどの対応が有効です。

2つ目の準備としては、書類の整備です。具体的には、レントロール(不動産の賃貸借条件を一覧にしたもの)や修繕履歴を作成し、購入検討者が検討しやすい状況を作っておきます。


投資家が検討しやすい状態の物件とは、書類がきちんと整備され、物件の状況が一目でわかるような状態となっている物件で、売却しやすい物件と言えます。

売却しやすい物件となると、多くの購入希望者が購入を検討するため、価格が上がる可能性がふえます。売却に先立ち、書類をきちんと整備しておくことがポイントです。

売却で発生する税金

個人の方が不動産を売却すると、譲渡所得が発生します。譲渡所得に対して所得税および住民性が発生します。


譲渡所得とは、次の式で表されるものです。


譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用


譲渡価額とは売却額です。取得費は購入額のことですが、建物に関しては減価償却後の価格となります。譲渡費用とは売却に要した仲介手数料等の費用です。

譲渡所得は、取得費と譲渡費用の合計額よりも高く売却できた場合は発生しますが、低い価格での売却となった場合は、税金は発生しません。


個人の方でも、居住用財産と呼ばれるいわゆるマイホームを売却した場合、譲渡所得を抑えるような税金の特例が存在します。例えば、3,000万円特別控除と呼ばれるような特例は、マイホームの売却のみ適用されます。

投資用不動産はマイホームではありませんので、売却時に税金を抑えてくれるような特例がありません。そのため、マイホームの売却と同じような感覚で売却してしまうと、思わぬ税金が降りかかってくることになるため、注意が必要です。


また、譲渡所得に対する税率は、不動産の所有期間によって異なります。所有期間は、所有期間5年超の譲渡を長期譲渡所得、所有期間5年以下の譲渡を短期譲渡所得と呼びます。

長期譲渡所得の税率は、所得税が15%、住民税が5%です。それに対し、短期譲渡所得の税率は、所得税が30%、住民税が9%となります。


つまり、所有期間が5年超のほうが節税はできるということになります。節税だけを考えるのであれば、所有期間は5年超のタイミングで売却したほうがお得になります。


投資用不動産の売却のタイミングについては、所有期間も加味することが重要です。

まとめ

以上、投資用不動産を高く売却するための準備と税金について解説してきました。売却の準備では「空室を埋める」ことと、「書類を整備する」ことがポイントです。税金については譲渡所得が発生しそうな場合、所有期間を確認してから売却を検討しましょう。