ちゃんと予算はありますか?不動産経営のネック「修繕費」

不動産経営をはじめる前に知っておきたい知識の一つとして、「不動産物件では必ず修繕費が必要」ということがあります。人が住める状態を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。時には災害などに伴う突発的な修繕もあり得ます。

修繕費には、どの程度の予算を用意しておけばいいのでしょうか。不動産経営における具体的な修繕内容や修繕費について解説します。

不動産経営に必要な修繕費にはどんな種類があるか?

不動産物件で必要となる修繕項目には、どんなものがあるかをピックアップしてみましょう。なお、物件は6~10室程度の1棟アパートを前提にします。

1、外壁屋根の塗装・修理代

集合住宅としての機能、美観を保つためには、定期的に外壁や屋根の塗装・交換を行わなければなりません。外壁塗装のメンテナンスを怠っていると、断熱性や腐食防止といった機能面が損なわれていきます。屋根も同様で、雨風や熱射などを防いでくれる屋根の機能を保つためには定期的な維持管理が欠かせません。

基本的に、外壁や屋根の塗装は10~15年周期で行います。費用については、1棟アパートの外壁・屋根塗装で100万~200万円といったところでしょう。そのため、年間10万~15万円程度は修繕のための貯蓄をする必要があります。

2、共有部分の修理交換費

エントランスや廊下など共有部分は、照明などの交換費用がかかります。故障が頻発することもあり得るので、月2,000~3,000円程度は見込んでおきましょう。

3、部屋の清掃費

入居者が退去した後の部屋の清掃費です。基本的には入居者から預かっていた敷金からクリーニング代を捻出しますから、敷金は別途保管しておきましょう。ただし、長年住んでいた住人が退去した場合は、経年劣化と判断されて原状回復費用が請求できないこともあります。その場合、壁紙などの汚れは、自己負担で交換します。ワンルームや1Kで3万~5万円の費用が目安です。

4、部屋のリフォームやリノベーション代

アパートを建ててから15~20年も経過すると、新築時のような客付けは難しくなります。物件競争力を高めるには部屋の壁紙や床の張り替え、さらには大幅なリノベーションなども必要でしょう。壁や床の張り替えだけでしたら10万円未満でできることもあります。しかし、ユニットバスをバス・トイレ別に改装したり、ワンルームを1Kに改装したりすると、50万~100万円前後の費用がかかることもあるため注意が必要です。

5、そのほかの修理代

マンションならばエレベーターの交換費用、強風や洪水などで被害を受ければその修繕も発生します。高機能で設備の多いマンションのほうが修繕費はかさむ傾向です。しかし、通常のアパートでも「看板や表札の交換」「各部屋の郵便受けの交換」「インターホンをモニター付きに変更」といった設備改善が必要になります。なお、自然災害に備えるには、保険に加入することも方法の一つです。

修繕費を用意していないと、こんな事態が起こる!?