修繕費を用意していない場合はどうなるでしょうか。住宅設備を修理せずに故障したまま放置すれば、「この大家は住人を大切する気がない」と感じて、住人が転居するリスクも高まります。
退去後も修繕ができなければ、新しい入居者を見つけるのは困難になるでしょう。毎月の家賃収入が減るので、修繕費を積み立てる余裕がなくなる懸念もあります。そうならないためにも、いつかは修繕費が発生すると自覚して毎年の予算に計上しましょう。
修繕費の年間予算はどの程度が適切?
それでは修繕費として、どの程度の金額を見積もっておくのが適切なのでしょうか。たとえば、3,000万円のアパートを2,500万円の融資を受けて、金利3%、25年のローンで購入したとします。利回り9%とすれば年間の家賃収入は270万円、毎月の家賃収入は270万円÷12ヵ月=22万5,000円です。また、上記の例だと毎月のローン返済額は 約11万8,000円で、家賃収入から返済額を差し引くと手元に残るのは約10万7,000円となります。
仮に所得税率が20%だとしたら、手元に残るのは約8万5,600円です。そこから外壁塗装などの大規模修繕に備える金額が毎月1万円、突発的な修繕などに備える保険料が毎月5,000円程度、10~20年後の改装に備えて毎月5,000円を積み立てるとすると、毎月2万円程度を修繕のために見積もっておく必要があります。つまり、年間家賃収入の270万円に対して、年間24万円程度です。年間9%程度を修繕費のための予算にするべきというわけです。
一度の修繕にかかる費用は、金額が大きくなりがちなため計画的に必要な資金を貯めておく必要があります。マンション・アパートの傷みは、住人の居住性や満足度に直結する問題です。不動産経営をしていくにあたり、修繕費の予算をしっかりと確保しながら運用できるかが不動産経営者の腕の見せ所といえるでしょう。