昨今の環境不動産は、「ZEH(ゼッチ)」や「ZEB(ゼブ」、「CASBEE(キャスビー)」など、一度は聞いたことはあるけれど、詳しいことは正直わからないようなものが多く見られるようになってきました。不動産投資においても、ただでさえさまざまな情報を収集する必要がある中、建築関連や省エネルギーに関しての法規制や制度、評価基準など年々改正され、一度ではインプットできないような、分かりにくいものになってきています。
そんな中で、2014年より建築物の省エネ性能の評価に特化した、国土交通省が定める日本で初めて統一された評価の指標であるBELS(Building Energy-efficiency Labeling Syste)があります。2020年4月からの「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の施行に伴い一般の建築物に加えてマンションも含む住宅もその評価対象となり、全ての建築物の統一評価基準ともなりました。
BELSの特徴
BELSの対象となる物件はさまざまで、新築に限らず住宅や非住宅などあらゆる物件が対象になります。さらには、建物の全体ではなくフロアやテナントなどの一部だけの評価も可能です。BELSは「BEI(Building Energy Index」という『省エネルギー性能指標』の数値で評価されます。また断熱等級などと違い、評価は星の数でつけられる点も特徴となっています。最も評価が高いのが星5つで、新築物件の場合は最低でも星が2つ以上つく決まりとなっています。星1つはすでに建築済みの物件にのみつくことができます。BELSによる評価は物件の資産価値を示すものとなりますので、評価を受けておいて損することはありません。
ZEH補助金にも活用
BELSの認定を受けた住宅は、「ZEH(ゼッチ)住宅」の補助金を利用することが可能です。ZEH住宅とは『net Zero Energy House』の略で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味となり、つまりは家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーが、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロにするということになります。
ZEHの導入には、設備のコストが大きいために導入を検討していたり、導入を諦める人もいると思いますが、BELS認定を受けていることが条件の「ZEH支援事業」という補助金制度を利用することで自己負担を軽減することができます。
BELS取得にデメリットはあるのか
ZEHの住宅にするためには、外観デザインや間取り等をZEHの基準にしなければならない場合があります。
例えば十分なエネルギーを確保するために大型の太陽光パネルを設置しようとすると、場合によっては設置条件を満たす屋根に限定されてしまったり、エネルギーの消費量を抑えるために部屋同士を間仕切ったり、LDKを狭くするというケースもあります。このように戸建て住宅のプランに制約がかかることがありますので、一概にメリットだけとはいえません。
これからの住宅には「BELS」が欠かせなくなるかも?
国土交通省が定めた第三者機関がしっかりと評価したBELSのように、環境不動産の取り組みは世界的にも増しています。昨今でもこのBELSを取得した建物を企画しているハウスメーカーや工務店、デベロッパーは多くなっています。今まで曖昧だった省エネ住宅に関して、一般ユーザーでもわかりやすい星の数で評価を示すBELSが導入されて、これからの住宅はこのBELS認定の取得は当たり前になっていく時代となるのではないでしょうか。