アパート経営は難しい?個人投資家が成功するためのポイントは?

書店の投資本コーナーには、不動産投資をすすめるような書籍がたくさん並んでいます。これを見て「できることなら、自分もアパート経営で不労所得が欲しい!」と思った人もいるのではないでしょうか。

一方で、インターネットで検索すると「アパート経営は難しい」というような情報もあふれています。

いったいどちらが正しいのでしょうか。


本稿では、個人投資家にとってアパート経営は難しいのか、どうすればアパート経営を成功させることができるのか、そのポイントについて考えてみます。

はじめてのアパート経営は新築と中古のどちらがいい?

はじめてアパート経営に取り組む人には、中古アパートのほうがおすすめでしょう。その理由は2つあります。


まず、「新築プレミアム」の問題です。日本人は新築物件を好む傾向があるため、賃貸住宅でも家賃に新築プレミアム分が乗せられることを前提に、分譲・賃貸を問わず、利益を多めに乗せて施工する工務店やゼネコンが少なくないようです。それは建築費が高くなることを意味しています。建築費用が余分にかかれば、当然投資効率は悪化します。


初心者が1棟目から新築物件でチャレンジするのは、一般的に難しいとされています。土地を持っている資産家や、土地購入費や建築費、その後の利回り下落、税金対策など、より具体的な判断基準・豊富なスキルを持っているベテランでないと、リスクが高いだけに危険が伴うからです。


また、新築物件は完成後に入居者が決まるまでどの程度時間がかかるかわかりません。経験が豊富で、地元の賃貸市場に精通しているようなベテランであれば問題はないと思いますが、はじめての人には少し難しいかもしれません。


その点、中古アパートの場合は、レントロール(貸借条件を一覧表にしたもの)があるので、現在の入居者と利回りがわかります。ある程度正確に収支状況が理解できて、将来の投資戦略も立てやすいでしょう。


アパート経営は難しい?!

「アパート経営が難しい」といわれる理由も2つあります。すでに日本は未曾有の人口減少時代に突入しました。ところが、日本中で新築アパートの建設ラッシュが続き、需給バランスは崩壊しつつあります。


同じような立地なら、人気の高い間取りと最新設備の新築物件が選ばれます。周りに新築物件が次々と建てば、入居者はどんどん奪われます。人口は減少しているので、減り続けるお客さんを大家さんが取り合うという事態になっています。地方はもちろん、都心部でも起きているので注意が必要です。


もう一つは、他の金融商品とは異なる、不動産投資独特の「儲けの仕組み」があります。アパート経営では、時間が経つにつれて家賃と入居率は落ちます。築年数が経てば経つほど、物件の利回りは下がる傾向にあります。


一方で、物件を維持するための修繕費や税金はふえます。物件が古くなれば見栄えも悪くなり、新築に比べて設備面も見劣りするようになります。外壁補修や水回り、エアコンなどの入れ替えが必要になるでしょう。また、いずれは減価償却費がなくなりますから、帳簿上の所得はふえて税金がふえます。


経年とともに大家さんの手取り収入は減るのに、税金や修繕費などのコストはふえるため、利回りは下がります。これは株や為替のような他の金融商品との大きな違いで、不動産投資の特徴でしょう。特徴を熟知していれば事前に対策も立てられますが、意外に理解していない投資家も多く、初心者になればなおさらで、失敗する人が少なくありません。


人口減少時代にアパート経営を成功させるポイント

今の時代、アパート経営を成功させるにはどうすれはいいのでしょうか。細かいことを挙げればキリがありませんが、重要なポイントは次の2つです。


1つ目は、「投資の成否は立地選びで決まるといっても過言ではない」ということです。どれだけ物件がきれいで間取りや設備が魅力的でも、立地が悪ければ立地の良い物件に太刀打ちは難しいでしょう。買い手よりも売り手がふえている今、間取りや設備が魅力的なのは当たり前です。結果的に、アパート経営の成否は立地選びで決まるということを認識しましょう。


2つ目は、「投資家が陥る心理的な罠にはまらない」ということです。初心者、ベテランを問わず、良い物件はなかなか巡り合えないものです。物件を探しているうちに「買うべき」物件を探さなければならないのに、「買える」物件に出合うと「とにかく買いたい」となり、買うべき条件よりも「買えるから買う」ということを優先するようになります。場合によっては妥協も大切ですが、守るべきところは守りながら、苦しいときでも安易に妥協しない姿勢が大切です。


前述したポイントをしっかり押さえておけば、初心者でも利益を出すアパート経営は可能です。将来の利益を予測しながら、長期にわたって安定して取り組める投資は、アパート経営以外にはなかなか見当たりません。これを機にアパート経営の知識を深めていってはいかがでしょうか。