オーナーチェンジ物件のメリット・デメリットを知っておこう

賃貸経営を行う上で、新築の物件から安定した不動産収入を得るまでには、立地の検証や家賃を適正に設定、賃貸借契約内容の検討、入居者の募集、入居者の審査など、多岐にわたる作業が必要になり、初めて不動産投資を行う方にとってはこれらを網羅的に管理するのはとても大変です。

この大変なこれらのステップを一気にスキップできるのが「オーナーチェンジ」という方法です。

オーナーチェンジとは、すでに入居者がついた中古物件を購入する方法で、物件を所有しているオーナーだけが変わるために、こう呼ばれます。すでに賃借人が入居しているため、新しいオーナーは物件を取得した瞬間から家賃を受け取ることができるのです。

初めて賃貸経営を始めようという方にとっては、旧オーナーがすべてやってくれている上述の作業が不要で、時間も手間も大幅カットすることができます。一方で、オーナーチェンジ物件の注意点も少なくはありません。

オーナーチェンジ、そのメリット

1、初心者でも始めやすい

オーナーチェンジは、テナントに例えると「居抜き物件」になります。設備などすでに備えられているお店を購入し、従業員もそのままで経営するようなものです。新規開店までの準備を割愛できる上に、常連客も引き継ぐことができます。

賃貸経営の場合も、オーナーとなり実際に家賃収入を手にするまでに、さまざまな作業と判断が求められます。初心者には、簡単なことではないでしょう。ですので、いきなり新築物件から始めるのではなく、オーナーチェンジ物件で賃貸経営の経験とノウハウを積むというのも一つの方法なのです。

2、手間と時間の大幅カット

新築物件の場合、建物を建てて入居者が決まり、実際に家賃を手にするまでには、数ヵ月~1年程度の時間が必要です。しかし、オーナーチェンジならば、契約した当月から家賃収入がもらえます。しかも、家賃収入があることが明らかなので、金融機関との交渉もスムーズです。これも大きなメリットでしょう。

オーナーチェンジのデメリット

1、室内の確認ができない

入居者がいる場合は、オーナーといえども、室内の状態を確認することはできません。ある意味、物件の中身を確認しないまま高額投資をするわけですから、不安に感じる方も多いでしょう。

そんな時は、外観や共用部分の状態を見ましょう。管理状態が良い物件は、満室状態と聞いて、すぐに納得ができます。逆に外観や共用部分が荒れているのに、満室である場合は、「サクラ」(満室にして売りやすくするために仕込んだ入居者。売買契約成立後、退居してしまう)が入居しているのかもしれませんので、注意しましょう

2、現入居者の条件変更はできない(入居者を選べない)

すでに賃貸借契約を締結している入居者に対しては、オーナーが替わったからといって、家賃の改定や立ち退きの要求、借家人賠償責任保険(賃借人が失火などを起こしても、部屋の原状復帰に使える保険)に後から加入させることなどはできません。すでに結ばれた賃貸借契約の内容は、新オーナーにも引き継がれるからです。

つまり、新オーナーは、権利と同時に義務も旧オーナーから引き継ぐのですから、既に締結された賃貸借契約の内容を事前にチェックすることが重要なのです。もしも、入居者の質が悪い、賃貸借契約に不備が多いと感じた場合は、購入を諦めるぐらいの心構えが大切です。

良い物件の見つけ方

オーナーチェンジ物件の中には、上述した「サクラ」のような高く売り抜けるために巧妙に仕組まれた物件もあり、これを初心者が見抜くのは困難です。初心者が“ババ”を引かないためには、管理会社を見るのも一つの方法となります。健全経営の物件には良い管理会社がついている場合が多いからです。

物件を見学して管理状態が良く入居率が高いなら、管理会社に出向いて賃貸借契約の内容などをチェックします。保証人や家賃保証、借家人賠償責任保険などに加入しているか、入居者審査の内容なども確かめて、信頼できる管理会社かどうかを見極めます。管理会社の評判をネット検索でチェックするぐらいの慎重さが大切です。

オーナーチェンジ物件には、上述の通り、多くのメリットがある反面、注意点も隠れています。良い物件には良い管理会社がついているケースが多いので、気に入った物件を見つけたら管理会社をチェックして、信頼できるかどうかを見極めてから契約を結ぶことが大切です。

オーナーチェンジを機に管理会社を替えることも不可能ではありませんが、飲食店で言えば店長やマネージャーを変えるようなもので、新たなリスクが発生しかねません。通常の物件と同様に、オーナーチェンジも信頼できる管理会社が手掛ける健全経営の物件を探すことがポイントでしょう。