ワーキングスペースがある、趣味を共有する、女性専用、自分が管理人になるなど、様々なコンセプトのシェアハウスは今もなお人気です。
しかし、ルールの管理や文化の違いなど、入居者同士のトラブルが起きやすいこともデメリットとしてあります。本稿ではシェアハウス投資を行いたいと考えている人のために、注意点や入居者間トラブルの回避方法など、知っておくべき基礎的な知識を紹介します。
シェアハウスに適した物件を見抜く
シェアハウス投資をはじめるには、まずシェアハウスに適した物件を探さなくてはなりません。通常のマンションやアパートと違ってシェアハウスは、一つの建物に入居者それぞれの個室と、入居者同士が交流を図れる共有スペース・設備があるのが一般的です。たいてい、個室が多い戸建住宅などを購入し、さらに一部の部屋の間取りを変えて大規模なリビングに改装したり、施錠できる個室の数をふやしたりして、シェアハウスとして貸し出します。
過去には、入居者が共同で使えるスペースがなく、トイレやシャワーなどの設備も最低限のものしかなく、シェアハウスとして十分な設備を備えなかったために、入居者をなかなか集められない事で大きな問題となった業者もいます。
シェアハウスは転用が難しいため建築物としての資産価値が低く、売りたくても売れずにオーナーたちは苦心していると聞きます。
最初から管理会社に任せきりにしない
アパートやマンションならば、管理会社に入居者募集から契約、清掃や修繕、さらには退去時の立ち会いなど、物件運営に関するほとんどの作業を委託できます。一方で、シェアハウスの運営は、マンションやアパートよりも手間がかかり、ノウハウも必要になります。シェアハウスも物件管理の委託は不可能ではありませんが、最初からすべてを管理会社に任せてしまうとシェアハウス運営のノウハウを学べません。
シェアハウスが一般的な賃貸物件と大きく違うところは、さまざまな人間が同じ建物の中に住み、顔を会わせる機会が多いことです。入居者それぞれの生活習慣や価値観、共有設備の利用の仕方が異なるうえにプライバシーの問題などもあるため、しばしば揉めごとが起きます。そんなとき、大家は住人同士のトラブルを仲介したり、場合によっては問題の多い入居者に退去などの厳正な処分を下したりする必要があります。
入居者が不満を持たないように対策を行い、入居率を下げないようにするノウハウは、物件運営の中で身に付けるしかありません。また、必要な設備に関しても、実際に入居者の声を聞きながら徐々に改良することになります。不要な設備を付けてもムダになりますし、必要な設備投資をしなければ入居者たちが不満を感じて退去してしまうでしょう。
シェアハウスを選択して住んでいる入居者たちの声を聞きながら、大家として何をすべきなのかを考えて物件の特長を出していくのは簡単ではありませんが、それもシェアハウス投資の醍醐味の一つでしょう。初心者だからといって管理会社に任せきりにするのではなく、すべて自分で管理するぐらいのつもりで取り組むようにしましょう。
安心、安全に対する高い意識
魅力的なシェアハウスにするには、設備のみならず入居者が安心して住める環境が重要です。特に男女が同居する場合は、異性間のトラブルから事件に発展するケースも考えられます。また、シェアハウスは入居者の出入りが激しく、すべての住人が他の住人を把握しているわけではありません。見知らぬ人間が家の中にいたとしても、気付かないかもしれないのです。よって、外部からの不法侵入者にも注意しなければなりません。
それぞれの部屋に二重ロックを設置したり、貴重品が保管できる金庫を設けたり、普通のアパートやマンションにはない防犯対策も必要になります。盗難などのトラブルが起こり、入居者が互いに疑心暗鬼になるような状況が生まれると、住みにくい雰囲気が生まれて退去が発生しやすくなります。
シェアハウスといっても入居者にとっては「我が家」ですから、プライバシーを確保できてリラックスした状態で生活できる環境を提供したいものです。大家は入居者の悩みを細かく聞き取るように努力し、安心・安全に対する高い意識を持たなければいけません。
シェアハウス投資は通常の不動産物件よりも何かと手間がかかるため、大家に精神的な負担がかかることもあります。運営を委託したときの管理費も、一般的なアパートやマンションとは違い、シェアハウスでは倍以上もかかってきます。もともと収益性が高く、利回りを出しやすい物件とはいえ、成功するためにはシェアハウス投資のノウハウを自分自身で会得し、入居者が安心して住める環境作りが必要です。