不動産投資で失敗しないために知っておきたい4つの「地雷」

アパートやマンションなどの不動産投資は、株やFXに比べて比較的手堅い投資と言われています。それでも、経営に失敗して巨額の負債を抱えてしまう方も少なからず存在します。それらの失敗事例を見ると、共通して4つの「地雷」を踏んでしまっていることがわかります。それらは、不動産投資を始めた方がやりがちな4つの失敗パターンとも言えます。具体的に見ていきましょう。

地雷その1「自己資金不足」

近年で金融機関の不動産向け融資額は、バブル期を超えて過去最高を記録したというニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。そんなニュースを見て一気に収益不動産を手に入れた方も少なくはないと思います。しかし、何事も好環境・好条件のときであればあるほど、立ち止まって考えるのが不動産投資家の鉄則です。例えば、金利はいつ上昇に転じてもおかしくはありません。低金利でようやく収益が出るような収支構造では、すぐに赤字に転落するおそれもあるのです。

これを回避する最も確実な方法は、自己資金を多く準備しておくことです。つまり、借り入れを少なくして返済比率(家賃収入に占める融資返済額の割合)を引き下げ、少々の金利上昇でも耐えられる収支構造にしておくことが重要です。確かに、様々な広告でたまに見かける『自己資金0円』でも不動産投資することは可能かもしれません。しかし、自己資金が0円での不動産投資は自己資金を準備しておくケースより経営的不安要素を多く抱えることになります。

地雷その2「家賃保証システム(サブリース)に頼りすぎる」

自己資金が十分でない大家さんが、安定した家賃収入を目論み飛びつきがちなのが、「家賃保証システム」(サブリース)です。サブリースは、実際の入居率に関係なく毎月一定の家賃を大家さんに保証するという制度ですが、注意が必要です。

サブリースは、大家さんのリスクを不動産会社が肩代わりしてくれるような仕組みです。しかし実際は、「2年ごと」あるいは「10年後」に家賃を見直すという仕組みになっているケースが多いです。つまり、最初に提示された保証家賃が更新ごとに引き下げられていくリスクがあるということです。
新築の場合、10年ぐらいは満室が続く可能性が高いので、家賃保証システムが不要な場合がほとんどです。入居率が下がり、実際に家賃保証が必要になるのは、新築から10年目以降の物件ですが、10年目以降の契約更新で、大幅に保証家賃が引き下げられることも珍しくありません。20年後・30年後まで、最初の家賃収入が保証されるわけではないのです。新築時の家賃が保証されると思い込み、契約を結んでしまうと、後から経営に行き詰まるおそれもあります。この点には十分注意する必要があります。

地雷その3「管理会社選びを軽視する」

物件選びは慎重なのに、管理会社選びを軽視する大家さんもいるかもしれません。賃貸経営において、管理会社は極めて重要です。入居率を引き上げ、家賃を高めに維持することができるかどうかは、管理会社次第といっても過言ではないためです。

実際のところ、賃貸住宅の競争力には決定的な差が存在しないことが多いです。立地がよく、魅力的な物件は家賃が高く、立地や築年数などに難のある物件は家賃が安いという相関関係があるため、立地などに多少難があっても、低家賃を武器に好立地物件に勝つことは十分可能です。入居希望者は、大多数が家賃と物件の魅力を天秤にかけて迷っています。その「迷い」を「納得」に変える決定的な役割を担っているのが管理会社です。

ターゲットに合った募集の方法、入居者の心をつかむ内見の演出など、長年蓄積してきた管理会社のノウハウこそが賃貸契約を導くのです。「管理会社なんてどこも同じ」などと、委託費の安さだけで管理会社を選ぶと、空室や家賃低下に悩まされることになります。

地雷その4「空室対策を怠る」

空室は大家さんの「努力」である程度解消できます。例えば、敷金・礼金を0円にする、いわゆるゼロゼロキャンペーンです。数年間入居してもらえることを考えれば、家賃を引き下げるよりもお得です。あるいは、入居から1~2か月間の家賃を無料にするフリーレントキャンペーン。これも、毎月の家賃を引き下げるより有利であることがあります。

このように「今だけ」「この部屋だけ」という限定感を加えることで、契約率を高めることは十分可能です。さまざまな方法を検討し自ら行動を続けるか、運頼みの他力本願なのかで、入居率は大きく変わってきます。

不動産投資は手に入れるのがゴールではなく、手に入れてからがスタートなのです。オーナーではなく、経営者として継続的に物件に関わり、入居率アップに努力することが成功の鉄則です。


多くの大家さんが「不動産投資の成否は、優良な物件を手に入れること」と考えがちです。確かに、物件探しは重要です。しかし、それ以上に本稿で紹介した4つの地雷に気をつけることが成功のためにはより重要なのです。不動産投資に失敗しないためにも、ぜひ実践してみてください。