不動産投資において「現地確認」はできる限りしておきたい工程です。物件案内書など、紙面上のイメージと比べて実際の物件はどうなっているか、自分の目で確認するようにしましょう。
Contents
ポイントその1 「安全性」
1. 最寄駅から現地までの確認ポイント
最寄駅から物件までに、次の4つのポイントを確認しましょう。
① 道の歩きやすさ
② 道の広さや、歩車分離の状況
③ 車や自転車の通行量
④ 歩いている人の年齢層
「危ない」道を毎日歩くことは、入居者にとって大きな不安となるでしょう。特に、昼と夜とで道の雰囲気が大きく変わる区域については、念入りに確認が必要です。街灯などに気を配りながら、昼と夜の2度に分けて現地を歩いてみてください。平日と土・日で通行量が異なる区域もあるため、注意が必要です。
2. 現地に着いてからの確認ポイント
現地に着いたら、耐震性と物件イメージのチェックを行いましょう。新しい耐震基準で設計された建物であれば、まず問題はないといえますが、熊本地震のように震度7クラスの地震が起きると、アパートなど木造建物への影響は大きいので注意が必要です。
また、近年は「観測史上初めての」が付くような豪雨も頻発しています。安全という点では、道路と敷地の関係や周囲の土地との「高低差」についても、よく確認してみましょう。
3. 室内(物件)に入ってからの確認ポイント
住む人の目線での「安全」とは何かを考えると、物件内の確認するべきポイントはおのずとわかります。例えば、「備え付けの設備機器が事故なく使用できるか」あるいは「緊急時の避難経路が確立されているか」といった点です。
キッチンやトイレ、浴室にある設備機器の設置後経過年数や不具合なども確認しましょう。設備機器を投資期間中に取り換える可能性があるかどうかは、収益にも影響する大事なポイントです。また、建物のエントランスから部屋まで実際に歩き、エレベーターや階段での死角、緊急時の避難経路なども確認しましょう。
ポイントその2 「安心」
1. 最寄駅から現地までの確認ポイント
投資物件の住環境が、「安心」して住める街であるかというのは非常に大切です。その安心とは、街の雰囲気や治安というだけでなく、普段の暮らしに必要なものが一通りそろっているかどうかも大切です。
まずは、物件のある街にオーナー様自身がどういう印象を持ったか、安心して住める街と思えたかどうかが重要なポイントになります。街にはそれぞれ雰囲気というものがあり、駅が1つ違うだけでも街の雰囲気は変わるものです。
現地確認の際、最寄り駅からの道中や周辺にどういう生活施設(スーパーやコンビニ、公共施設など)があるか確認し、物件案内書の地図に印を付けておくとなお良いでしょう。
2. 現地に着いてからの確認ポイント
入居者のセキュリティ性をはかるうえで、建物のエントランスは大事な場所です。オートロックやインターホンなどの設備面はもちろん、前面道路からエントランスが見える建物かどうかも確認しておきましょう。
エントランスでは、集合郵便ポストをチェックします。ここでの確認項目は大きく6つです。
① 表札が多いか、少ないか
② どういう入居者がいるか(個人か法人か、ファミリーか単身か)
③ 管理人室があるか
④ 管理会社の連絡先が表示されているか
⑤ 管理人は常駐か日勤か
⑥ 建物内・外はよく清掃されているか
清掃は、建物の維持管理の良し悪しを示すバロメーターです。維持管理のできていないマンション・アパートには、おのずと質の悪い入居者が集まるというのが不動産経営の定説です。ポストからチラシがあふれていないか、ゴミは落ちていないかなど、入居者の安心を考えるならば外せないチェックポイントです。
3. 室内(物件)に入ってからの確認ポイント
まず、室内から外の風景を確認します。面倒でも、ベランダへ出て周辺環境を見渡してみましょう。
隣の建物との距離、建物周辺の雰囲気など、外からではわからなかったことが発見できます。騒音や異臭がないかどうかも確認しましょう。音については、窓を開けたときと閉めたときの違いも確認しましょう。上下左右、隣接する部屋からの物音にもできる限り気を配ってください。
現地確認は無駄にはならない
本稿で紹介したチェックポイントは、いずれもご自身がそこで住むつもりになって、「安心して住める環境」だと思えるかどうかが判断の基準です。
今後大規模な開発があり、周辺環境が一変する可能性はあるのか、過去に入居者の安心を脅かすような「心理的瑕疵」がなかったかなどの情報も事前に把握しておくべき内容になります。入居者の方に安心して長く住んでもらうためには、不安な要素は可能な限り排除した物件を選ぶようにしましょう。
現地確認は、物件を購入するうえで大きな判断材料になります。その物件に投資しない、という結果になったとしても、数多くの物件を見ておくことで不動産投資家として物件に対する感性が養われます。「面倒だな」「現地確認なんかしなくても」と思わず、多忙な中でも時間を取って実際に自分の五感を使って現地確認を行いましょう。