不動産投資における「レバレッジ」と、 その活用方法とは

あらゆる投資においてレバレッジの意味とは、小さな自己資金で大きな資金を運用することです。

レバレッジといえばFXを連想される方も多いと思います。手元資金に応じた為替投資とは違いFXなら手元資金の何十倍もの投資が可能です。

不動産では、金融機関でローンを組むことによりレバレッジをかけた投資が可能になります。

大きなレバレッジには大きな魅力がありますが、それと同時に大きなリスクも伴います。そこで今回は、FXや株と比べながら、不動産投資のレバレッジを考えその活用方法に注目してみましょう。

ハイリスク・ハイリターン、FXと株の信用取引

FXは、預け入れた証拠金に対して、25倍まで(個人投資家の場合)の運用が可金融庁により定められています。株式投資も証券会社で「信用取引口座」を開設すると最大3倍までの運用ができます。

レバレッジのメリットは、より効率的な資金運用ができ、大きな利益をあげられることです。例えば自己資金100万円の場合、FXでレバレッジ10倍だと1,000万円、株の信用取引でレバレッジ3倍だと300万円の取引が可能となり、それぞれ10%の利益をあげればFX100万円、株30万円となり、少ない自己資金で多くの利益を得られます。

もちろん、プラスの効果と同様にマイナスの効果も大きくなります。もし上記の例で10%の損失を出せば、株では自己資金を30%減らすことになり、FXでは投資資金を全額失うことになってしまいます。

不動産投資は融資審査が歯止めとなる

不動産投資におけるレバレッジは、金融機関の融資による不動産購入です。自己資金100万円で900万円のローンを組んで区分マンションを購入したとすれば、単純計算すると、レバレッジは10倍です。FXや株と同様に、大きな効果を生みます。

不動産投資のレバレッジがFXや株と異なる点は二つあります。一つは、融資に審査がある点です。金融機関が試算する融資金額は、専門家による投資物件の評価額といえます。オーナーがいい物件だと考えても、金融機関が評価しなければ融資は受けられません。この融資審査は、適正な投資フィルターの役目を果たします。

次に、投資対象の価格変動の緩やかさです。大きなレバレッジをかけても、FXや株のように、価値が急に増減したりゼロになったりする可能性は極めて低いです。バブル崩壊の時ですら、土地価格は急速に下がりましたが家賃の変化は緩やかでした。

FXや株がキャピタルゲイン(=売却差益)であるのに対し、不動産投資ではキャピタルゲインに加えて毎月の家賃というインカムゲインがあるため、評価減という厳しい局面を仮に迎えたとしても長い目で投資を見ることが可能です。

不動産投資のレバレッジ活用方法とは

それでは、レバレッジをかけた不動産投資にリスクはないのでしょうか。

残念ながら、どんな投資にもリスクはつきものです。不動産投資における最大のリスクは、空室による収入の減少です。

仮に1億円のRCマンション(10部屋)を全額融資で購入した場合、利回り10%ならば、家賃収入は年1,000万円です。これが諸経費(融資返済、管理費・修繕費などここでは700万と過程)を引いて満室想定で年300万円のキャッシュが残る場合だと、年間を通じて常に2部屋が空いた際の収入は800万円、手元に残るキャッシュは年100万円に減ります。水回りの故障など突発的な大規模修繕が発生すれば、収入減どころか「持ち出し」になる可能性もあります。

このような事態への対策として、空室対策と余裕資金の確保が必要です。余裕資金はレバレッジと密接に関係します。毎月の家賃収入から想定外の出費や計画的な大規模修繕に備えて積立をするのは基本ですが、そもそも、ある程度余裕を持ったレバレッジで投資をするという姿勢が賢明です。

適正レバレッジの一つの考え方に「満室収入の返済比率40%以下」というものがあります。「返済40%+経費20%+空室率10%=70%」ならば、30%のキャッシュの余剰を見込め、アクシデントに対応できるというものです。サラリーマン収入その他の自己資金で備えられる方は別として、物件毎のキャッシュフローを厳しく試算することは、レバレッジの大きさと融資金額そのものよりも重要かもしれません。

小さな自己資金で大きな投資を可能とするレバレッジは魅力的です。しかし、レバレッジが大きすぎると不測の事態に対応できずに、利益どころか資産を失うリスクもあります。インカムゲインがある不動産投資は、FXや株の信用取引に比べ、長い目で投資を考えて対応することが可能です。

そして、不動産投資には、余裕を持ったレバレッジと空室対策が必要です。「融資返済率40%以下」のようなキャッシュフローを重視した経営が、レバレッジの効いた不動産投資を成功に導くことでしょう。