不動産投資には、少ない労力で大きなリターンが期待できるというメリットがあります。本職のほかに副業を持ちたいと考えている人にとっては魅力的な選択肢だといえるでしょう。実際、その考えに基づいて不動産投資を始め、成功を収める人も少なくありません。しかし、その一方で、不動産投資に手を出したために手痛い失敗をしてしまう人がいるのも事実です。そこで本稿では、失敗する原因がどこにあるのかについて、例を挙げながら解説をしていきます。
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どれくらいの人が不動産投資に失敗しているのか
不動産投資にチャレンジする人は数多くいますが、その9割は失敗に終わっているといわれています。それを聞くと、「不動産投資は分の悪い博打のようなものだから手を出すべきではない」と思うかもしれません。しかし、不動産投資が博打になるのは挑戦する人が勉強不足だからであり、正しい知識と情報を集めたうえで行えば成功率はぐっと高くなります。そのためにはまず、勉強することが大切で本を読むなどして不動産投資の基本的な知識を積んでおく必要があります。ただ、机上の学問だけでは真の成功はおぼつかないでしょう。なぜなら、本当に優良な物件は一般公開されていないからです。
そこで、重要になってくるのが人脈づくりです。役に立つ情報をつかんでいる人と知り合いになり、その情報を教えてもらえれば不動産投資はがぜん有利になります。ハードルが高いように感じますが、今の時代にはインターネットがあります。検索をするだけで「不動産投資サークル」や「不動産勉強会」などといった集まりは山のように出てきますので、その中から質のよい集まりを吟味して参加すれば心強い仲間ができ、情報はおのずと集まってくるようになります。もし、そういった出会いがなかなかできない場合は特定の金融機関に属さず、中立的立場で活動しているファイナンシャルプランナーなどに相談してみるのもひとつの手です。
不動産投資での失敗例
価値の高い不動産を見つけると初心者はすぐそれに飛びついてしまいがちです。しかし、そこには落とし穴があります。たとえば、近くに大学があるのだから価値は下がらないだろうと思っていると、突然その大学が移転してしまったといったケースです。また、安い時に購入しておけば大きな利益を得られたのに、高くなってから買ったために損をしてしまったという場合もあります。逆に、安さにつられて競売物件に手を出して失敗するといった事例も少なくありません。競売物件は確かに安いものが多いのですが、そのままでは使いものにならないものが多くて危険なのです。
さらに、利回りがよいと思って購入したら、物件に魅力がなくて買い手が付かなかったというのも初心者が陥りやすい失敗です。あるいは、家賃水準が低い物件を購入して失敗したという例もあります。なぜ、家賃水準が低いのが問題かというと、利益が出にくいので修理やリフォームなどにお金をあまり掛けられないからです。そうなると家は薄汚れ、設備もボロボロになってますます利益が出にくくなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
一方、投資・経営などを他人任せにして知らない間に大きな損失を被ってしまったというのもよくあるパターンです。賃貸管理能力の低い会社に依頼して失敗したというのも同様です。管理を委託するのであれば、ネットなどでよく調べ、管理能力の高い会社を慎重に吟味しなければなりません。
その他の失敗例としては、保有している不動産で人身事故が起きてしまったというケースも挙げられます。特に、火事や死亡事故などが起きると原状回復に高い費用がかかってしまったり、イメージダウンから家賃を大きく引き下げなければならなかったりします。こうした問題はどうしようもないと思うかもしれませんが、自殺や孤独死もカバーしてくれる火災保険に入ったり、入居審査を厳しくしたりすることである程度のリスクヘッジは可能です。そして、忘れてはならないのが相続によって収益性の低い不動産を引き継いだケースです。この場合、そのままにしておくと負債だけがふえ続けることにもなりかねないので、それを防ぐには「利益が出ないのならすぐに売却してしまおう」といった具合に、相続を行う前から対策を立てておくことが大切です。
ありがちな失敗とはどんなもの?
不動産経営の失敗でよくあるのが、いつの間にか年間の現金収入よりも支出のほうが多くなり、資金繰りが苦しくなるといったケースです。これは建物の減価償却が終わったタイミングでよく起こります。減価償却が終了すると確定申告の際に不動産購入費を必要経費として計上できなくなります。そのタイミングでローンの返済も完了していればよいのですが、ローンだけ残ってしまうと急に収支が赤字になるといったことが起きるのです。
また、確定申告の際に諸経費を計上しそびれると、やはり負担が大きくなってしまいます。仲介手数料、火災保険料、物件の管理費・補修費など、諸経費として計上できるものは意外と多いので注意が必要です。それに、マンションなどの不動産物件は年月が経つほど修繕リスクが高くなっていくものです。それを考慮するのを忘れていると、修理をしなくてはならない時にその費用を捻出できないということにもなりかねません。
さらに、騒音トラブルが発生したり、家賃の回収が上手くできなかったりしてマンションやアパートの経営が破綻する場合もあります。
不動産投資に失敗してしまう人の行動
不動産投資に失敗する人には共通した特徴があります。たとえば、不動産投資を始めれば必ず稼げるなどと安易に考えている人は、まず失敗します。また、いくら払っていくら損をしたかなどの収支を正確に把握しようとしない人も同様です。それに、資金繰りに困るとすぐに借入に頼ってしまう人も危険です。要するに、計画性や几帳面さがない人は成功する見込みは低いといえるでしょう。
さらに、投資のための勉強をせず、必要な人脈を築こうとしない人もかなりの確率で失敗します。少なくとも、そういった努力を惜しまない人でなければ大きな成功は期待できないでしょう。
失敗する人と成功する人の違い
不動産投資で成功する人と失敗する人をシンプルに分けるとすれば、不動産投資のルールをきちんと理解しているか、あるいはそれに関連した知識が十分備わっているかの2点に尽きます。不動産投資に挑戦した人の9割が失敗するという事実は、その2点をないがしろにしている人がいかに多いかを示しています。逆にいえば、その2点を改めさえすれば、成功は大きく近づいてくるはずです。
不動産投資の失敗を防ぐポイント
不動産投資において特に重要なポイントは、3つあります。それをしっかり押さえておけば失敗の確率はかなり低くなるでしょう。
まず、1つ目は大学や企業といった特定の施設に依存した経営をしないという点です。そういった施設の近くというのは不動産経営を行ううえで確かに魅力的です。しかし、逆にいえば、施設が移転したりするとたちまち経営は破たんの危機にさらされることを意味します。逆に、施設がなくても成り立つ投資計画を立てておけば、それだけリスクは低くなるはずです。
2つ目は必ず内覧をしておくことです。ネットの情報や業者の説明だけで購入を決める人がいますが、あまり賢明な方法だとはいえません。思っていたよりも部屋が広い、周囲の騒音が気になるなど、現場に行って初めて気がつくことも少なくないからです。
3つ目は目先の収益だけに惑わされないという点です。たとえば、利回りの良さに魅かれて衝動的に購入を決めてしまうと、あとで思わぬデメリットが見つかって後悔する危険性が出てきます。そういうときは、一歩引いて総合的な観点から判断するように心がけましょう。
失敗のリスクを知り不動産投資を成功させよう!
何事であれ、成功しようと思えば失敗から学ぶことが大切です。失敗事例を頭に入れ、それを避けるだけでも成功率はおのずと高くなっていくからです。ここで紹介した失敗例などを参考にし、それを反面教師とすることで不動産投資を成功させる道筋を固めていきましょう。