不動産投資のリスクあれこれ、始める前に知っておこう!

銀行の預貯金の預け入れ利率がとても低い状況であることはどなたでもご存知だと思います。そのような背景からも不動産投資を行いたいと考える方が増えているのではないでしょうか。不動産投資を上手く行えば預貯金よりも多くの利益が得られることが期待でします。現在、ほとんどの銀行の預貯金利息が0%台にある中で、不動産投資は物件によっては利回り10%程度のものもたくさんあります。数年から数十年といった比較的長いスパンで物事を考えると、投資している人としていない人とでは資産額に大きな差がつく可能性もあるでしょう。しかし、不動産に限らず投資にはリスクがつきものです。そこで、本稿では不動産投資にかかわるリスクについて紹介します。

リスクその1「経済的な問題」

不動産投資を始めようと思っている人は、日本における経済事情についてもアンテナを張り巡らせる必要があります。なぜなら、借入金利は常に一定とは限らないからです。金融機関などとローンの契約をするときに「固定金利」と「変動金利」の2つが選択できることを知っている人も多いでしょう。その名のとおり、固定金利は原則的に借入期間中の金利が変わらないのに対して、変動金利は借入期間中に金利が変動する契約です。つまり、変動金利で契約をしている人は支払利息が契約当初の計画よりも大幅にふえるリスクを抱えているといえます。


一般的に変動金利のほうが契約当初の借入利率は低いケースが多いため、目の前の金利に惹かれて契約をしてしまう人もいるでしょう。しかし、長期的な視点で考えた場合に、将来的に金利が上昇する可能性が高いと判断したならば、固定金利で契約しておいたほうがいい場合があります。逆に将来的に金利が低くなるという判断をしたのであれば、変動金利で契約しておいたほうがお得になります。

また、不動産投資をするときは、税金についても勉強が必要です。不動産投資行なっている、勉強している人は「消費税」や「固定資産税」「譲渡所得税」などが、不動産投資と関係の深い税金であることがご存知だと思います。これらの税率も国の政策によっては変動するリスクがあります。特に建物の購入にかかる消費税は経費の控除ができず「建物の購入金額×税率」となるため、高額な不動産の購入では大きな出費になりがちです。少しでも利回りを良くしたいと思うのであれば、増税される前に購入を検討したほうが良いでしょう。

リスクその2「運用の問題」

不動産投資は物件を購入することは入り口にすぎず、購入してから運用することが本当の勝負になります。購入した物件に入居者が入ってくれなくては、固定資産税などのランニングコストだけがかかってしまいますので、収入がなくてはせっかく手に入れた物件もいずれ売却しなくてはいけなくなるでしょう。しかし、実際問題として100%の入居率が保証されているような物件はありませんから、不動産投資している人たちは常に空室リスクと戦っています。悪質な管理会社の中には、そうした投資家の弱みにつけこんで「満室保証は60日目以降、それ以前はたとえ満室であっても一切オーナーには家賃が入りません」というような家賃保証契約を結ばせるケースがあります。空室リスクが怖い投資家にとって家賃保証はとても魅力的に思えることがありますが、デメリットがあることも忘れないでください。


また、入居者が決まっても収入が入ってこないなど、入居者による「家賃滞納リスク」もあります。家賃の催促は基本的に管理会社が行ってくれますが、必ず取り立ててくれるわけではありません。最悪の場合、裁判を起こしてやっと回収できるケースもあります。しかし、家賃を回収できても裁判にかかる手間や費用はオーナーにとって余計な負担となってしまいます。裁判にならずに入居者が夜逃げするケースもあり、そうなると連帯保証人への連絡や残された家具の処分といった問題が残るリスクもあります。そのほかにも、不動産を最終的に売却することを検討している人は注意すべきなのが、「地価下落リスク」です。日本の人口は将来的に減少傾向にありますので、地価も下落していくといわれています。「入居率は良くても最終的に売却したら赤字になった」などというリスクも考えられるのです。

リスクその3「物損破壊の問題」

不動産投資は建物を購入して行う以上、損壊する可能性はゼロとはいえません。損壊する理由は地震や火事などさまざまなものが考えられます。日本は島国であり、地震活動も世界的にみるととても活発な地域です。日本のどの地域でも巨大地震が起きる危険性はあるといえるので、耐震補強をしているなどの頑強な建物を選ぶ以外に対策は基本的にありません。このリスクで一番怖いのは「建物が全壊してローンだけが残ってしまう」というものです。


こうなってしまうと、収入は入らないのにローンの返済だけが残るという大変な事態になってしまいます。少しでもそのようなリスクを減らすために、保険に入っておくというのも有効な方法でしょう。金融機関によってはローンを組むときの条件として、融資額分の保険に入らなければいけない場合(質権の設定)もあります。このような対策をとっておくことで、仮に建物が全焼しても借金が残ることは防げるのです。


また、天災がなく無事に運用できたとしても、経年劣化による修繕はしなくてはなりません。給湯器や配管設備の交換など、必要に応じて修繕しているとそれなりに大きい金額になります。それ以外にも、一般的に10~20年に一度は外壁や屋根の塗り替えをしなくてはいけません。塗り替えは物件の規模によっても異なりますが、数百万円単位になることもありますので、計画的に資金を貯めておくことを忘れないようにする必要があります。

リスクその4「賃貸管理会社倒産の問題」

賃貸管理会社は不動産投資におけるパートナーと呼べる存在です。トラブルが起こったときは助けてくれる良き味方になってくれることでしょう。しかし、そんな賃貸管理会社も倒産するおそれはあります。仮に管理をお願いしている賃貸管理会社が倒産してしまった場合は、そこに振込まれている入居者からの家賃や敷金を取り戻すことは難しいです。また、何の知らせもなく突然倒産してしまった場合には、入居者にトラブルが発生しても連絡先がわからず問題がますます大きくなってしまうでしょう。特に中小の賃貸管理会社で家賃保証などを行っている場合には注意が必要です。


家賃保証の仕組みとしては、各不動産のオーナーから保証費を少しずつ徴収して、空室がある部屋の賃料に充当する方法が一般的になっています。そのため、取り扱い量が少ない会社で空室がふえてしまうと、家賃保証に回す原資が足りなくなるのです。その結果、賃貸管理会社の資金が上手く回らずに倒産してしまいます。委託している賃貸管理会社が倒産しても他の会社に頼めばいいのですが、引き継ぐための情報や契約書がきちんと保存されていないと苦労することになります。また、他の賃貸管理会社へ委託するまでの期間の入居者からのトラブル報告をどうするかといった問題も考えておかなければいけません。

リスクに備える方法は?

金利変動などの「経済的な問題」については、「借入する金額を抑える」方法が有効です。借入金額が少なければ少ないほど、金利上昇による支払利子の増加リスクは防げます。固定資産税や消費税等の税金の問題については、残念ながら国が決めることなので有効な対策はありません。ニュースに敏感になって税率が上がる前に決断するようにしてください。「運用の問題」の対策としては、なんといっても空室対策を効果的に行うことです。効果的な空室対策として考えられるのは、ニーズをしっかりとつかむことが挙げられます。


たとえば、近隣に大学があるのであれば1Rや1LDKのような単身向きの物件を物色すると良いでしょう。新婚世帯を対象にするのであれば2LDK、ある程度子供が大きくなっている世帯をターゲットにする場合は3LDK以上といった具合です。狙った物件の立地や周辺施設、建物の設備から対象となる世帯を考えて、投資するかどうかを判断してください。空室対策や滞納保証が充実した賃貸管理会社を選ぶことで、収入が減ってローンの支払いが滞るようなリスクの低減が図れるので探してみると良いでしょう。また、地価下落リスクについては「駅チカ」「他にはない設備がある」などの「資産価値が落ちづらい物件を選ぶ」と良いです。


「物損破壊の問題」については、できるだけ耐震性が高い物件を選ぶようにすることや、図書館や市役所などで過去の災害情報を仕入れて判断すると良いでしょう。ただし、経年劣化による修繕は必ず発生しますので、あらかじめ資金計画を立てておくのを忘れないでください。「賃貸管理会社倒産の問題」の対策は倒産しそうな兆候をいち早く発見することです。具体的には、毎月決まった日に家賃がしっかりと振込まれているかを確認してください。資金繰りが厳しくなってくると振込日や金額がバラバラになることがよくあるからです。

リスク回避をすれば不動産投資は怖くない!

不動産投資にはリスクがつきものです。しかし、世間一般ではあまり考えられていませんが、「投資しないリスク」もあるということは認識しておいてください。一般的に預貯金は安全だと考えられていますが、預貯金にも「銀行の倒産」「インフレによる貨幣価値の減少」といったリスクがあるため、ノーリスクで預けられる場所は元々ないといえます。不動産投資にはリスクもありますが、徹底してリスクヘッジをすれば成功する確率が高くなるのも確かなので、資産のバランスを考えたうえで検討してみてください。