スマホでも物件情報を探しやすい、マンションの一室買いが浸透してきた、サラリーマンの副業が当たり前化されてきた。
円安や景気の状況もあり今では、不動産投資を検討する人が増えています。そして、不動産投資を始める方のほとんどの人が「不動産投資ローン」を利用し物件を購入します。確かに低金利の今、ローンを組んで、より大きなレバレッジ効果を得たいものです。
不動産投資ローンを組む際には、どのようなことに注意し、何を基準に金融機関を選ぶべきなのでしょうか。
不動産投資ローンはどうやって審査しているのか
不動産投資ローンは、私たちにとって身近な「住宅ローン」とは異なります。
たとえば住宅ローンの場合、その審査には個人の信用度が大きなウエイトを占めますが、不動産投資ローンでは「個人属性」に加え「物件属性」という条件が重要になります。
個人属性とは、収入や勤務先、勤続年数、保有資産などです。収入が多く、勤務先の業績が安定していれば、融資を受けられる可能性が高くなりますし、もちろん保有資産が多いほうが有利になります。
こうした融資条件は、不動産投資ローンも住宅ローンも変わりませんが、金融機関によっては、連帯保証人を求められることがあります。
自分自身の収入や勤務先が心もとなくとも、属性の高い親や配偶者に連帯保証人になってもらうことでカバーできますが、逆にそういった親族がいないと、連帯保証人を見つけるのは難しいかもしれません。いずれにしても、リスクを共有することとなりますので、連帯保証人になる方にきちんと説明をするほか、連帯保証人選びも慎重に行いましょう。
また、物件属性とは、投資物件の担保価値や収益性です。物件価値が高いと判断されれば、そのぶん融資は通りやすくなります。なお、抵当権は第一順位でなくても可とする金融機関があります。すでに抵当権が設定されている不動産も、担保価値が融資額を上回れば追加融資が得られるかもしれません。
これらの個人属性と物件属性がローン審査の基本ではありますが、投資物件への融資である以上、その事業計画も重要です。たとえ個人の副業であっても、メンテナンス費用や空室率を加味した損益分岐点をどの程度なのかは把握しておきましょう。
金利や返済方法で金融機関を決める
どの金融機関で融資を受けるのかで金利や返済方法が大きく異なります。金利水準は一般的に、不動産投資ローンの方が住宅ローンよりも高いです。住宅ローンの場合は、中には特約などを除いて約0.3%程度にまで下がっている金融機関もあると聞きます、一方で不動産投資ローンは好条件でも2%以上とお考えください。
金利例をいくつか出してみます。
【A銀行の場合】
変動金利 2.30%
固定金利(3.5,10年)2.80%~2.70%(ただし、調整幅が-1.50%~6.30%)
【B金融会社の場合】
変動金利型 3.90%~7.40%
【C銀行の場合】
固定金利(3年、5年)2.30%~2.50%
あくまでも例ですが、住宅ローンよりも金利が高く、かつ金利に幅があることがわかります。また諸経費については、仲介手数料や登記費用、融資手続き手数料などは物件価格の5~7%程度とされます。さらに中古物件などの場合はリフォームが必要かもしれませんので、多めに見積もっておきましょう。
金融機関選択の考え方
住宅ローンの場合、各金融機関は「変動」「期間固定」「全期間固定」の返済方法を用意していることが多いです。しかし、不動産投資ローンは、各金融機関で返済メニューが限られます。返済期間そのものも短めとなります。また、繰り上げ返済手数料が基本的に高いことには注意しましょう。
繰り上げ返済は、繰り上げ返済元本額の2%程度を手数料とする金融機関が多いです。「とりあえず変動金利を選択して、金利が上昇したら繰り上げ返済で返済額を圧縮しよう」という場合でも、相応の手数料が発生することになるので注意が必要です。(一部、繰り上げ手数料が定額の金融機関もあります)
これらを踏まえ、どう金融機関を選んでいけば良いのでしょうか。大事なのは「どのように返済していくのか」を明確にすることです。
・ 初めての不動産投資だから、最初の5年間は思わぬメンテナンス費用や空室リスクに備えて、固定金利にしておきたい
・ 新築で状態の良いうちに返したいので、返済額は多くなっても返済期間を短くしたい
・ 立地が良く、将来も資産価値は安定するだろうから、毎月の返済額を抑えてじっくり返済したい
・ 1~2年後に物件を増やしたい。その際はローンを繰上げ返済したいので、繰り上げ手数料が安いところが良い
このように、どうやってローンを返していくのか、自分なりのプランを立てましょう。そうすれば、何を重視すれば良いのかが見えてきます。自身のこだわりに合った金融機関を探しましょう。
不動産投資ローンでは、まず事業計画を立て、自分の希望する返済プランを実現可能な金融機関を選ぶのがベストです。
ただし、たとえば「返済期間の長さを魅力に選んだのに、審査の結果、返済期間が短く制限されてしまった」という事態もあり得ます。
厳しい審査結果が出ることも折り込みつつ、最適な融資先を選択しましょう。