不動産経営をやる前に絶対に知っておきたい!5つのメリット・リスク

不動産投資は、株式投資やFXなどと比べると、リスクが比較的少ない「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資といわれています。しかし、投資である以上、その特徴や仕組みを理解した上で行わなければ、成功は収められません。

本稿で不動産投資のメリット・リスクをきちんと把握し、他の投資商品との違いについて理解を深めるようにしましょう。

不動産投資とは

不動産投資とは、賃貸用の区分所有マンション・一棟アパート・マンション・オフィスビルなどを取得し、そこから得られる家賃収入と、物件を売却したときの売却益に期待する投資です。株式やFXなどとの違いは、物件の運営・管理が必要であることでしょう。

株や外貨は保有している期間、売るタイミングを見ていればいいのですが、不動産投資の場合はその他にもやるべきことがあります。アパートやマンションの居住者のために、管理を日常的に行い、長期的な視点で運用する必要があります。そういった意味で、不動産投資は事業経営的な側面が非常に強い投資なのです。

不動産投資の5つのメリット

不動産投資のメリットについて、それぞれ考えてみます。

1. 安定性の高さ

株式などの投資は日々価格が変動し、100円のものが1日で20円になったり、500円になったりすることがあります。最悪の場合は0円になるリスクもあります。不動産投資は、株式投資のような激しい価格変動はありません。主な期待利益は、毎月の家賃収入と最終的な物件の売却益です。

不動産投資では、基本的に毎月一定の収入が見込めます。売却価格もその不動産が生み出す収益(家賃収入)をベースに算定されることが一般的なので、極端に変動することはありません。その点では、安定性の高い投資といえます。

2. 保険・年金的効果

金融機関から融資を受けて不動産投資した場合、ご自身が死亡したり高度障害を患ったりといった、万が一のケースが発生しても、団体信用生命保険によってローンの残債は保険金で清算されます。

残されたご家族には、投資用不動産が無借金の状態で残ります。その投資用不動産を売却すれば現金が手元に残りますし、保有し続ければその不動産が生み出す月々の家賃収入を丸々受け取れます。保険でいえば、個人年金や収入保障保険などに該当します。

3. インフレに強い

インフレとは、物価が持続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることをいいます。不動産価格や家賃は物価上昇に連動して上がるので、不動産投資はインフレに強いといえます。

4. 節税効果

不動産投資することで、所得税と相続税において、税制上のメリットを受けることができます。

A. 所得税のメリット
建物の減価償却費を経費計上できるので、その分を所得から引くことができます。減価償却は実際に出費する費用ではありません。建物が古くなることで価値が減る分を、経費として差し引きするのです。また、不動産投資が赤字の場合、不動産投資以外の所得などと「損益通算」することにより、所得税が軽減できます。

B. 相続税のメリット
現金や株に比べて、不動産は相続税評価額が下がります。土地については、路線価評価額から借地権割合と借家権割合と賃貸割合を控除でき、建物については、固定資産税評価額から借家権割合と賃貸割合を控除することができます。こうした資産圧縮効果があることも覚えておきましょう。

5. 競争相手が少なく、自分で事業改善が可能

株式投資やFXの場合、マーケット参加者は非常に多く、専業トレーダーや国内外の機関投資家などがしのぎを削る中で、個人投資家も利益を出していかなければなりません。これに対して不動産投資は、他の金融商品と比較すると参加者が圧倒的に少数です。

さらに、取得した物件の価値を、自分自身の努力によって高めることができます。リフォームやリノベーションで物件の魅力を高めたり、設備を向上させて入居者満足度を上げたりすることが可能なのです。

不動産投資の5つのリスク

投資である以上、当然ながらリスクもあります。今度はリスクを5つ挙げてみます。

1. 空室リスク

不動産投資の最大のリスクです。空室で家賃収入が得られない期間も、保有しているだけで維持費や公租公課などのコストはかかります。

2. 滞納リスク

入居者から、支払期限までに賃料が入金されないことを「滞納」といいます。督促して、すぐ入金されるような「うっかりミス」も多いのですが、中には数か月以上も滞納しながら、平気で居座るような「猛者」もいます。こうなると、空室リスクよりもダメージが大きいかもしれません。

3. 天災リスク

地震・台風などの天災により、物件が被害を受けるおそれがあります。天災リスクは損害保険でリスクヘッジが可能です。契約内容や補償範囲、保険料などから総合的に判断して、最も適切な保険に加入することが大切です。

4. 流動性リスク

不動産は株式やFXなどと違って流動性が低く、物件を売却して現金化するには、ある程度の時間が必要です。現金化できるまでに、早くとも1か月程度はかかります。ただ、あまり売却を急ぐと買いたたかれるおそれがありますので、希望価格で売却したいならば、少なくとも数か月は時間をかける余裕が必要です。

5. 金利上昇リスク

株式投資やFX投資と比較すると不動産投資は高額なので、多くの場合は金融機関の融資を利用します。そのため、予期せぬ金利上昇で返済金額が膨大になるリスクが考えられます。近年、まれに見る低金利が続いていますが、いずれ金利は上昇すると考えておきましょう。

本稿では、不動産投資のメリット・リスクから、他の金融商品との違いまでを考えてみました。不動産投資とは「入居者を募集し、入居者の満足度を上げる施策を立案・実行し、満室経営を続ける」という事業です。つまり、経営者としてのあなたの手腕が発揮できる「魅力ある投資」なのです。