不動産の賃貸住宅に、住まいのIoTを導入する動きが見られています。
暮らしの利便性や安全性が大きく向上する可能性がある技術革新であり、特に若い人の支持が高いことから、ワンルームマンションなどの賃貸住宅に導入することで入居率を高められるのではと考えられています。
賃貸住宅の新たなトレンドになりそうな「IoT賃貸」について調べてみました。
普及が始まったIoT賃貸
IoTはInternet of Thingsの略で、身の回りにある様々なものがインターネットにつながることを指します。これまで住まいのドアや窓、家電製品といったモノはすべて独立しており、操作するには手動またはそれぞれをコントロールするリモコンを使用するしかありませんでした。住まいにIoTが導入されれば、インターネットを通じてそういったモノを操作できるようになるため、暮らしの快適性や利便性が大幅に高まります。
少し前まで、まだ実用は将来のことと思われていましたが、テレビやエアコン、照明、錠前などをインターネットにつなげる技術はすでに実用段階に入っています。住まいにおける新しい技術は通常、持ち家から普及してきましたが、IoTについては賃貸住宅でも普及が始まっています。
メリット多く若年層に高いニーズ
IoTには様々な技術がある中、賃貸住宅でもっとも注目されているのはスマートロックでしょう。専用アプリをインストールしたスマートフォンを近づけるだけで開錠できるというもので、閉め忘れを確認したり、出先から施錠・開錠したりすることも可能です。
また、デジタルデータで成り立っているカギを簡単に変えたり、インターネット上でやり取りできたりするのもスマートロックの特徴です。オーナーや管理会社にとっては、退居時のカギの交換や、入居希望者を案内する際のカギの受け渡しが容易になるのが大きなメリットです。
同じく錠前では、窓のカギをIoT化する技術もあり、閉め忘れを防いだり、開錠された際には通知が届いたりするようにできます。もちろん、照明やエアコンを外出先からコントロールすることも可能です。住まいにIoTを導入すれば、暮らしが快適かつ便利になり、セキュリティ性能も高まります。特にインターネットに親しみが深い若年層のニーズが高い技術です。
コストを抑えて導入できる
導入するシステムによりますが、安価で導入できるものも少なくありません。特に近年、急速に普及しているスマートスピーカーは導入がもっとも簡単なIoT技術です。スマートスピーカーといえば1万円以下で簡単に導入が可能です。スマートロックも意外に安く、1万円程度のものもあります。
IoTによる住まいのシステム化を希望する人は、Residence kit社が提供する3点セットを検討してみるのもよさそうです。「スマートロック」、「スマートライト」、「室内の温度環境をコントロールする装置」の基本3点セットを導入しても出費は20万円以下に抑えられます。
IoTを導入している賃貸物件はまだまだ多くはありません。競合物件との差別化を図れる技術であり、オーナーにとってはコストパフォーマンスが高い選択肢でしょう。
情報管理には注意も必要
暮らしの利便性を飛躍的にアップしてくれる技術ですが、注意点もあります。IoTを導入するのに伴うもっとも大きなリスクはウィルス感染やハッキングです。すべての機器がインターネットにつながるので、外部から問題のあるアプリが入ったり、操作されたりする危険性が生じます。
たとえば、錠前のデータをハッキングされたり、エアコンを外から操作されたりすると、生活面で大きなリスクが発生します。また、インターネット回線を通じて、個人情報が漏れるおそれもあります。
海外では、スマートスピーカーの誤作動で、家庭内の会話を録音した音声ファイルを勝手に他人に送りつける事例が報告されており、生活の場が外の世界とつながることの危険性について指摘されています。
まとめ
IoTが本格的に導入されれば、これまで多くの人が生活する中で感じていた不便が解消されるでしょう。これまで、そういった新しい技術は富裕層から普及するのが一般的でしたが、IoTを希望する人はスマートフォンに慣れた若年層が多いため、むしろ若者向けの賃貸住宅から進んでいくかもしれません。