専業大家の実現目指す、不動産経営のやり方

不動産の大家にとって、保有物件を増やして専業大家になることは、大きな1つの目標ではないでしょうか。その専業大家実現のためには、何に気を付けるべきかのポイントを知ることはとても重要です。本稿では、失敗しない不動産経営のやり方として、不動産経営に潜む数々のリスクへの対策と、専業大家を目指す上で絶対に外してはならないポイントについてお伝えします。

不動産経営の7大リスク

不動産経営を失敗させないため大切なのは、まず経営リスクをきちんと理解することです。

①空室リスク
②家賃滞納リスク
③家賃下落リスク
④出口戦略リスク
⑤銀行からの借入リスク
⑥管理会社の倒産リスク
⑦震災・火災リスク
不動産経営における主なリスクとして、この7つを挙げます。
そして、これらの中で特に見落とされがちなのが、④出口戦略リスクと、⑤銀行からの借入リスクです。このふたつに焦点を当てて解説します。

出口戦略リスク

物件購入ばかりに気を取られ、出口戦略をまったく考えていなかった。そのようなケースが不動産経営の失敗で一番多いとされています。不動産経営では、未来永劫に賃貸物件を保有し続けるわけではありません。その時の経済状況や周辺の賃貸需要の変化、減価償却費などの節税メリットの有無で、物件をチェンジすることになります。

その際、売却時にいくらで売れそうか、値下がりはしないのか、買い手はいるのか、どこまでの値下がりに耐えられるのかなどを事前に考えておかなければなりません。そうしないと「物件を売却したい」「しなければならない」となったとき、売るに売れず、売れても大きな赤字を出してしまいますので、注意しておきましょう。

銀行からの借入リスク

「サラリーマンの副業として不動産賃貸経営がおすすめ!」といったような書籍を目にしたことはございませんか?そういった書籍には、副業として不動産経営をすすめる理由として「少額の自己資金で取り組める」「銀行ローンをたくさん借りて大きなレバレッジを掛けて、投資効率が上げられる」などということが書かれています。しかし、不動産投資の初心者やサラリーマンが副業として取り組む場合、多額の借入が大きなデメリットに働くおそれがあることを知っておかなければなりません。

「借入額を増やして、レバレッジを効かせて投資効率を上げる」のは、その投資が成功することが前提になります。不動産経営は、株やFXなどと比べると比較的安定した投資手法ですが、必ずしも初心者が短期間で結果を出せるとは言い切れません。予期せぬトラブルが起こり、想定外の出費が発生する可能性もありますし、空室期間が予想以上に長期化したということもあるでしょう。そうしたときに銀行からの借入が多すぎると、毎月の返済額が大きな負担となり、キャッシュフローが回らなくなります。こうなると、サラリーマンとしての本業に支障をきたす可能性が十分に出てきてしまいます。

最初はできるだけ自己資本を多めに入れ、不測の事態に対処しやすくしておくことが大切です。もちろん、物件の収益性や投資家本人の経済状況にもよるので、自己資本をいくら入れればよいかは簡単に言えませんが、不動産投資本に書かれているようなフルローンを安易に考えないほうが良いということは想像できるのではないでしょうか。

不動産経営のやり方!専業大家になるなら必ず注意したいこと

1)物件購入の判断は実質利回りで

不動産投資の利回りには、表面利回りと実質利回り(ネット利回り)があります。表面利回りは、物件管理にかかる諸々の費用を引かずに計算した利回りです。一方、実質利回りは、管理費など投資物件に掛かってくる様々な費用を引いて利回り計算をしています。つまり、表面利回りは実質利回りよりも利率が高くなりますので、その物件が買うべき物件かどうかを判断するには、実質利回りで判断することが大切です。高利回り物件に見せるために、表面利回りを大きく書いてアピールしているような概要書もありますが、惑わされてはいけません。必ず実質利回りで判断するようにしましょう。


2)管理を業者に丸投げして良いかしっかり考える

物件の管理を管理会社に丸投げする場合、委託費などが必要以上に高ければ収益を圧迫することになります。入居者間で何かトラブルがあった場合に気付くのが遅れたりなど、サービス面での注意も必要です。
確かに、不動産投資が副業としてすすめられる理由のひとつに、「物件管理は管理会社任せで手間いらず」ということがあります。しかし、管理業者に任せることと管理に無関心なことは違います。

・現在の入居率
・家賃滞納の発生
・空室が出たときの入居者募集の反響
・どのような媒体の広告に反響が多かったか
・原状回復工事の内容や工事業者の選定、見積価格の適正さ

大家自身がしっかり確認しておかねばならない内容はたくさんあります。管理業務そのものは管理会社に任せるとしても、管理会社と密にコミュニケーションを取って、物件状況を常に把握しておきましょう。


3)良物件はなかなか見つからない

本業がありながら仕事の合間に物件を探しても、なかなか良い物件は見つかりません。不動産投資を始めたばかりの大家の中には、少し物件を探しただけで「良い物件が見つからない。」と諦めてしまう人もいます。しかし、そもそも良い物件は簡単に見つかるものではありません。

これは、専業大家の人もプロの不動産屋でも同じです。数十件内覧した程度で良い物件が見つかれば、それは奇跡です。良い物件を見つけるような人は、何千件と物件資料を確認し、何百件と物件を内覧しています。良い物件はみんなが欲しいため、根気強く探さなければ見つかりません。たくさん見れば見るほど判断する目も養われますので、悩んでいるよりかは、一件でも多くの物件を内覧しましょう。


不動産投資をする方法について、書籍やネットではさまざまな方法が述べられています。しかし、多くの場合「副業としておすすめだ!!」と煽るばかりで、不動産投資のリスクについては「表面的な解説でおしまい」という本や記事も少なくありません。本稿でお伝えした不動産経営のふたつのリスクや3つのポイントをぜひ頭に入れ、実際の投資で実践してみてください。