スマートフォンの爆発的な普及で、誰もが写真を撮り、自分の日常の出来事をSNSに投稿するようになりました。レストランの美味しい食事、かわいらしい雑貨、旅先で見た美しい風景などがネット上にあふれています。
せっかく撮った写真は美しく見せたい、多くの人たちに見てもらいたいという気持ちがあるでしょう。実は、この気持ちは不動産業界で働く人も同じです。本稿では、入居にも影響する「撮影サービス」について紹介します。
写真撮影サービスとは
不動産物件の場合、客付け会社の営業マンや管理担当者がデジカメで撮影し、その写真をサイトにアップするケースが一般的でした。同じ物件の写真のはずなのに、他社サイトで公開されている写真のほうがきれいに撮れていると感じるのはそのためです。
不動産賃貸業者は、客付けできなければ収入が入ってきません。ビジネスであるからこそ、物件の写真の「映り」にはこだわるべきです。しかし、忙しくて物件の撮影に手が回らない営業マンもいることでしょう。
数多ある物件の中から、自分の物件に目を留めてもらうきっかけとなるのが写真であるため、その写真が魅力的かどうかは非常に重要で、収益に直結します。陽当たりが良く明るい室内なのに暗く写っていたら、物件の良さが伝わらないどころか魅力が半減します。
お客様に「内見に行きたい」と思ってもらわなければならないのに、写真の出来が悪いことで入居希望者が離れていくことすらある他、実際に住んだときのイメージを紹介文章よりもわかりやすく語ってくれるのが写真です。
この問題を解決するのが、専門のカメラマンによる写真撮影サービスです。一眼レフカメラを使い、鮮やかな写真を撮影してもらうことができます。素人が撮影した写真との違いは一目瞭然です。
どのくらいの費用がかかるの?
「不動産物件の写真撮影サービス」と一口で言っても、その内容はさまざまです。プロが撮影する本格的なものもあれば、随時依頼を受けて現地のスタッフが撮影するものもあります。物件の周辺環境や駅から物件までの道中の様子など、不動産物件の紹介に必要な写真を撮ってくれるサービスもあります。
新築物件の場合、家具やインテリアの設置など事前準備が必要になるケースもあります。そのため、十分な打ち合わせを実施しましょう。
撮影費用は、外観写真を含めて10~20枚程度の撮影が標準パッケージで2万円程度といったところです。特にアピールしたいポイントや強く打ち出したい部分がある場合は、事前に伝えておくとスムーズでしょう。きれいで美しい写真であること以上に、「物件の個性」を打ち出すことも重要だからです。東京の業者であれば、一般的に関東圏は対応エリアに含まれますが、遠方だと出張費用がかかるケースもあります。
もちろん、通常の写真だけではなく、パノラマ撮影や動画のサービスを提供する会社もあります。パノラマ写真であれば部屋を360度の視点から見ることが可能ですし、動画ならよりリアルに詳細を確認することができます。
きれいな夜景が売りの物件、桜や紅葉など季節の素晴らしい景色が楽しめる物件では、パノラマ撮影や動画がより物件の魅力を引き立てるでしょう。なお、その場合の料金は割増やオプション扱いになることもあります。
自分で部屋をモデルルームにする
「こんなところに住んでみたい」「生活してみたい」と入居希望者に思ってもらうための写真撮影ですが、家具などのインテリアがない部屋だと、写真を見ても生活するイメージが沸きにくいという問題があります。残念ながら、写真撮影サービスには部屋の飾り付けまでを行うところがありません。
ただし、オーナー自身で部屋の中をモデルルームにするという手があります。テーブル一脚を置き、花や緑を一つ飾る、それだけで部屋の印象は大きく変わります。インテリア専門誌などを参考にして、魅力的な室内空間を演出してみてはいかがでしょうか。無機質な空間を心地良い生活空間として演出することは、入居希望者だけでなく、入居が決まればオーナーにとっても後にメリットをもたらします。
現在は人口減少が続く時代です。今後ますます買い手市場の傾向が強まるでしょう。分譲住宅にせよ、賃貸住宅にせよ、オーナーは空室リスクを避けるために、一人でも多くの人に自分の物件を選んでもらう必要があります。
不動産業においては、立地や家賃といった条件以外でより多くの人に物件の良さをアピールできる手段が不可欠です。「満室御礼」を達成するうえで、写真撮影サービスは気軽に利用ができる心強いツールの一つではないでしょうか。