資産価値が下がりにくい投資物件の見分け方

不動産投資物件を購入するなら、できるだけ資産価値の下がりにくい物件を手に入れたい。誰しも願うことでしょう。今回は、資産価値の下がりにくい地域、そして物件の見分け方について考えてみます。

資産価値の下がりにくい地域とは

1、人口が増えている

まずは投資候補物件の所在地の人口推移が重要です。過去10年で、どの程度の増減があったのかを確認してみてください。人口が増加傾向にある地域は、資産価値が下がりにくい地域だといえますし、逆に大きく人口が減っているような地域は、将来、資産価値が下がりやすいといえます。


2、利便性が良い

当然のことながら、住人にとって利便性の良い地域は人気が集まります。例えば、首都圏では駅から遠い物件は近い物件に比べて選ばれにくいでしょうし、地方では幹線道路に近いと人気があります。候補物件の周辺を実際に見て、「自分だったらその場所を買いたい」「借りたい」と思える場所にあるか考えてみてください。


3、将来的な需要変動リスクが低い
例えば、その地域の賃貸物件に対する需要の多くが、大学の学生や、大型工場の勤務者である場合には注意が必要です。将来、その大学や工場が移転したり、なくなったりすれば、その地域の需給バランスは大きく崩れ、物件の資産価値は下がることになるでしょう。


4、価格推移が安定している

一等地は、好景気には売買価格が上がりやすく、不景気には売買価格が下がりやすい傾向にあります。
長期的に見れば一等地は資産価値の下がりにくい地域といえますが、短期・中期的に見れば、売却時期によっては、資産価値が購入時より大きく下がるかもしれません。現在は地価が値上がりしているといわれていますので、短期・中期的に資産価値が下がることを懸念するのであれば、その地域の価格推移を確認し、価格推移が安定している地域を選ぶ方が良いでしょう。

資産価値の下がりにくい物件とは

1、現在価格が割安

物件は購入した瞬間から、その資産価値は下がります。一般的に割高な物件は資産価値が落ちやすく、逆に割安な物件であれば購入価格からみれば資産価値は落ちにくいといえます。購入した物件を10年後に売却する場合、どの程度の価格で売却できるかを考えておきましょう。同じエリアで築年数が10年程度経過している、購入希望物件とよく似た物件の価格帯を確認すれば、資産価値の下落をある程度予想できます。


2、修繕費が妥当

区分マンションを検討する場合は、修繕費や修繕積立金を確認しておきましょう。毎月の修繕費が1,000円程度の物件でも、長期修繕計画表を見ると、経年ともに修繕費を増やす計画になっている場合が多いです。修繕費が増加すれば、ランニングコストも増加し、投資としての魅力は小さくなります。修繕費の増額計画がなかったとしても、あまりにも安い修繕費では物件を適切に修繕できず、劣化して資産価値が下がることにつながります。現在の修繕費だけでなく、将来的な修繕費を確認し、物件の魅力を維持するのに妥当なものかを確認してください。


3、長く住んでもらえる

投資物件の購入にあたり、広さや間取りは非常に重要です。妥当な賃料が設定されていて、価格も割安な物件を見つけたとしても、部屋が狭い場合は注意しましょう。こうした物件は、部屋自体に満足はしていないけれど、賃料が安いからという理由で入居している方が多いです。そして部屋に不満のある人は、経済的に余裕ができた時点で、引越しを検討するでしょう。

入退去の回転が速いと、新規入居者の募集経費が増え、空室期間がしばしば発生するため、利益が圧迫されて、利回りが落ちます。投資物件としての魅力は小さく、ご自分が購入した価格では売却できない可能性も十分あります。

また、専有面積の広い物件でも、廊下部分に多くの空間が使用され、リビングの面積を確保できていない物件があります。生活導線なども考慮し、購入を検討している物件が、ずっと住んでもらえるような構造になっているかを考えてみましょう。


4、潜在価値がある

割安だと思って確認した物件が再建築不可だったり、建蔽率・容積率オーバーの物件だったりすることがあります。再建築不可の物件は建替えができないため、建物が極度に劣化しても修繕で対応するしかありません。また、建蔽率・容積率オーバーの物件は、建替えの際に同規模の物件を建てられません。いずれも、通常の物件より市場評価は低いです。割安だと思った物件が、市場評価も考慮すると、実は割高だったという失敗がないよう注意してください。

反対に、建蔽率・容積率に余裕のある物件は魅力的です。例えば、80平方メートルの土地に120平方メートルの2階建てアパートがあったとします。この土地が、建蔽率80%・容積率300%であれば、再建築の際には4階建てのアパートに建て直せます(用途地域等の制限がない場合)。将来的な投資物件としての潜在的な価値を期待でき、同面積の通常物件よりも割安と判断することができます。

将来を見据えて選定しよう

資産価値の下がりにくい地域、物件の見分け方について解説しました。各内容に共通する重要なポイントは、現在の価値ではなく、将来の価値を想定して選ぶことです。

投資物件の購入を検討している方は、今回の内容を参考に、対象物件をもう一度確認してみてはどうでしょうか。