1日で学べる!失敗しないアパート経営~中古物件活用術~

一般的に、一棟マンションに比べて購入資金が安くて済むアパート経営は、これから不動産経営を始める人にとって、ひとつの選択肢として魅力的に映ることでしょう。一方で、「アパート経営は儲からないし、失敗しやすい」と考える人もいます。果たして本当にそうなのでしょうか。

そこで本稿では、アパート経営で失敗しないために知っておきたいポイントと、成功させるための中古物件を活用した具体的なノウハウについて考えてみましょう。

アパート経営で失敗する3つの理由

失敗しないアパート経営の前に、「なぜアパート経営で失敗してしまうのか」を考えてみましょう。

1. 新築経営でも土地あり・なしで事情が異なる

一口にアパート経営といっても、その投資方法は「保有する土地にアパートのみ新築」、「土地購入+新築アパート建設」、「土地付き中古アパートを購入」に大別できます。

リスクの観点から、「土地購入+新築アパート建設」のケースでは、新築アパートの建設費用には施工会社の利益が含まれており、一般的に物件価格の2割程度がその利益ともいわれています。仮に、完成後すぐに売却するとしても、この2割の利益分だけ売却価格は下がります。つまり、アパートを建てる前から出口戦略で物件価格の20%下落が決まっていることになります。

「保有する土地にアパートのみ新築」するケースでは、初期投資は建物部分だけで済みます。新築で工務店が得る利益が乗っていたとしても、土地購入代がかかりませんから、その分高い利回りが確保できます。このように、同じ新築でも事情は異なるということです。

2. 減価償却費が使えない築古アパートに手を出す

築古アパートは安値で売りに出されており、高利回りの物件も少なくありません。しかし、築古アパートの多くは法定耐用年数がほとんど残っておらず(耐用年数を超えてしまっていることも多い)、そのため減価償却費のメリットを得られません。

そもそも不動産投資で儲けを出す仕組みは、家賃収入や売却益で利益を上げることだけではありません。実際には、キャッシュの持ち出しがないのに会計上は費用として計上でき、課税所得を減らして大きく節税効果を得られる減価償却費は”おいしい部分”だといえるのではないでしょうか。

減価償却費のメリットが得られない築古アパートは、購入しても修繕費がかさんで、家賃収入を大きく食いつぶしてしまうリスクが高くなります。

3. 出口戦略を考えていない

アパート経営で失敗する投資家の多くは、買うことばかりに目が向いてしまい、「売却時にいくらで売れるのか」を考えていません。購入した中古アパートは、インフレが進んで土地の価格が大きく値上がりしない限り、一般的に売却価格は下落します。

もちろん、築年数が古い物件であればあるほど、下落幅も大きくなるでしょう。そのうえ、購入希望者も減って売却が難しくなります。購入から売却までをトータルで考えると、アパート経営で損をしたというケースは少なくありません。

アパート経営を成功させる2つのコツ

少子高齢社会を迎えるにあたり、今後のアパート経営のリスクを知っておきましょう。アパート・マンション・一戸建てに限らず、人口減少が進む郊外はリスクが高くなります。将来的には、賃貸需要が安定している都心部の物件を狙う戦略が基本になるでしょう。そのうえで、アパート経営を成功させるためのコツは、次の2つがあります。

・築浅中古物件

土地を持っていない投資家が狙う物件として、中古アパートという選択肢は悪くありません。しかし、中古アパートならなんでもいいわけではありません。その理由は先ほどご説明したとおりです。

もし中古アパートを狙うならば、築浅の物件に絞りましょう。築浅物件なら減価償却費も使えて、節税効果が期待できます。設備の老朽化もしばらく先になるので、修繕費などのキャッシュの持ち出しもすぐには必要にならないでしょう。

・3~5年先には売却するつもりで

築浅の中古アパートを狙いながら、同時に考えておくべきなのが出口戦略です。木造や鉄骨造の中古アパートは、RC造に比べて法定耐用年数が短いため、短期間で物件を入れ替えることがポイントになります。

設備が老朽化する前に手放して修繕費の支出を避け、別の築浅物件に入れ替えることで減価償却費を確保します。物件の保有期間は3~5年を想定し、出口戦略を立てておくというやり方も、不動産投資を成功に導くひとつの方法です。

不動産投資で利益を上げると聞けば、つい家賃収入や売却益だけに目が行きがちでしょう。大切なのは、それらに加えて、減価償却費による節税や修繕費など、その他のコストも含めてトータルで考えることです。アパート経営で成功するか失敗するかどうかは、この「トータルな視点での判断」にかかっているといえます。