日本経済は好景気が続いています。このまま行くと、戦後最長の好景気の継続期間を達成するとの見方も強いです。
この好景気を支えている背景の中には、人々の「2020年の東京五輪までは大丈夫だろう」というプラスの投資マインドの存在があります。
2020年まではあとわずかですので、このまま好景気は続くかもしれません。では五輪後はどうなるのでしょうか。
そこで本稿では、東京五輪の前と後での不動産投資環境はどのようになるかについて解説します。
投資マインドに支えられている不動産市場
株や不動産等の投資市場においては、投資家の投資マインドがとても重要な役割を果たします。投資マインドとは、いわゆる気持ちの問題です。
「まだ上がるだろう、もっと上がるだろう」と思えば強気の投資を行いますし、「まだ下がるだろう、もっと下がるだろう」と思えば投資家が投資市場から撤退していきます。
もちろん、市場が上がったり下がったりするのは理論的な側面も影響しますが、実際には人々の気持ちという情緒的な側面が、とても大きな影響を与えています。
東京五輪「前」の不動産投資市場
現在、不動産価格はかなり高騰が続いており、高いと感じている方も多いはずです。しかしながら、まだまだ価格は上がっています。
高いと感じているのにまだまだ上がっているのは、人々の「まだ上がるだろう、もっと上がるだろう」という気持ちに支えられているためです。
このような人々の高揚感は、東京五輪までは続くものと思われます。「とりあえず東京五輪までは好景気が続くだろう」という人々に共通の期限があり、多くの投資家のマインドがぶれることはないでしょう。
投資マインドの形成という意味では、東京五輪は大きな影響を与えています。おそらく、不動産市場は引き続き堅調に推移していくものと予想されます。
東京五輪「後」の不動産投資市場
一方で、東京五輪後の不動産投資市場はどうなるのでしょうか。東京五輪後は、色々な見方があり、既に投資家マインドが分かれている状態です。
過去の経験からすると、五輪後は不景気になるおそれもあるため、投資市場に多少の揺れ動きはあるものと予想されます。
特に、投資家マインドに敏感に反応するのは株式市場です。不動産投資市場はもっと緩やかに動きますので、株式市場が下がったからすぐに不動産投資市場も下がるわけではありません。
そのため、突如として価格が大きく下がることは考えにくいのですが、仮に株式市場が大暴落するような事態が発生すれば、遅れて不動産投資市場も暴落するような事態はあり得ます。
それに対し、株式市場が思いのほか堅調であった場合、不動産投資市場はほとんど下がらないことも予想されます。
不動産投資市場は株式市場に遅れて動くため、株式市場が下がらなければ「なんだ、大丈夫そうだ」という投資家マインドが広がり、価格は維持されるということになります。
気になる消費税の影響
実は、東京五輪以外に気になる要因が隠れています。それは消費税増税です。
消費税の増税は2019年10月というタイミングで予定されていますが、増税が本当に実行されるのか、再び延期されるのかはまだわかっていません。
消費税増税時は、増税前の駆け込み需要によって一瞬景気が伸び、増税後に冷え込むという傾向が見られます。
そのため、実はこの消費税の増税タイミングが、五輪前に起こるか後に起こるかによっても、景気の行く末はかなり変わってきます。消費税は建物価格に対して発生するため、不動産投資市場に大きな影響を与えます。
今後の不動産投資市場を占う上では、五輪以外にも消費税という大きな要因も隠れていることに注意が必要です。
まとめ
以上、東京五輪の前後での不動産投資市場について見てきました。五輪後の不動産投資市場は株式市場の動き方や消費税の動向によって変わってきます。
五輪という要因だけでなく、株式市場や消費税といった観点も鑑みながら、不動産投資の判断をしていきましょう。