空室リスクを防げ!はじめてのマンション経営で失敗しない物件選び

マンション経営を始める方にとって、一番悩むポイントは物件選びであることが多いです。実際、どの物件を購入するかによって、マンション経営の成功や失敗が決まるといわれるくらい重要なポイントです。そこで本稿では、初心者でも失敗しない物件選びについて考えてみます。

立地条件と間取り

少子高齢化と人口減少の影響もあってか、最近ではそう悪くなさそうな駅近の物件でも空室が目立つようになりました。ワンルームを購入するなら「オフィス街に近い」「大学が近い」といったような立地に優位性のある物件がよいでしょう。また、東京・大阪・名古屋・仙台・福岡など、多くの人が集まる大都市であれば、比較的客付けはしやすくなります。その中でも人気のある街や、活気があって住みやすそうな駅近物件をリサーチしてみましょう。

地図上では良さそうに見える場所でも、実際にその場所に行ってみると、ジメジメした暗い雰囲気だったり排水の臭いが漂っていたり、近くにスーパーやコンビニがなかったりと良くない点が見つかることも少なくありません。投資用物件の場合、実物を見ずに買う投資家も多いのですが、実際に行ってみないとわからないことも多くあります。物件を選ぶ際には極力現地に赴き、雰囲気を確かめ、実物を見てから購入するようにしましょう。

また、意外と盲点になるのが間取りです。‎妙に細長い部屋だったり、間取りが三角形のために家具が置きにくかったりするような部屋は、借主から見れば好みが分かれるポイントです。‎景観などを理由に、外に洗濯物が干せない物件もふえています。建物管理が行き届いて、清潔感があるかどうかなど、借主の立場に立って「自分ならこの部屋を借りたいか」「実際に住みやすそうか」という視点で考えることが大切です。

価格と利回り

マンション経営を始める際に、必ず考えなければならないのが利回りです。高く買って安く貸すのでは意味がありません。利回りは「年間の家賃収入÷物件の購入価格×100」で計算されます。この数字が高いほど、安定したマンション経営ができると言えるでょう。

同じ物件で、広さが同じ部屋の家賃を調べたり、近くの似たような物件の家賃相場を調べたりして、候補物件の想定利回りを計算してみましょう。なお、築年数の古い物件は価格が安くなるので利回りは高くなりますが、将来的に家賃の値下がりリスクや空室リスクも高まり、後々多額の修繕費用がかかるリスクもあるため注意が必要です。

新築と中古の比較

マンションを購入するとき、新しくてキレイな新築に目が行きがちです。確かに、中古よりも新築のほうが少し高く貸し出せるというメリットがありますが、実際の入居者はそれほど新築に対してこだわりはなく、リーズナブルな物件を探しているケースが多いようです。また、新築物件は広告費用をかけていることも多く、物件価格が割高になっています。そのため、一般的には中古物件のほうが安く買えて利回りも高くなるため、初心者にはおすすめかもしれません。

もちろん、中古を購入してリフォームや修繕費用が高くついてしまっては意味がありません。大規模修繕が必要なほどの古い物件は避けたほうが賢明でしょう。リノベーション済みで、長期間高い賃料で貸し出せそうな中古物件ならば、検討する価値がありそうです。

ただ、中古のほうが絶対におすすめというものでもありません。阪神・淡路大震災をきっかけに、2000年6月に性能規定の構造計算法として、従来の許容応力度等計算に加え、限界耐力計算法が認められました。やはり、最新の耐震基準をクリアして建てられた物件が安心できますので、中古でも築18年以内(※2018年現在から算出して)のものがおすすめということになります。

投資用のワンルームはダメ?!

10~20年前には投資用のワンルームマンションが多数建てられていましたが、次第に最低専有住面積が設けられるなどの規制が厳しくなりました。これは「単身者からの税収はあまり見込めない」「単身者ばかりの入居では、地域活性化が見込めない」などの理由が背景にあります。東京都では2000年頃から規制が厳しくなり、東京23区内でワンルームだけのマンション建設は、現在ほぼ不可能になってきています。

実際に、投資用ワンルームのみのマンションは購入者本人が住んでいないため、管理組合が機能していないことがあります。清掃や修繕が適切に行われないと建物は早く劣化します。その点では、投資初心者の方や物件の近くに住んでいない方には、あまりおすすめできません。逆に戸数が限られているからこそ、希少価値が出てきているのも事実です。

不動産の価値は需給バランスです。その点で23区内のワンルームは「価値がある」と言えるでしょう。ご自身が物件の近くに住んでいて、こまめに物件をチェックしたり管理組合に積極的に参加したりすることで建物の価値が保てるのであれば、ワンルームマンションも投資対象候補に入ります。

戸数と大規模修繕

マンション規模も重要です。マンションは「大規模修繕」といって、一般的には10~15年に1度、外壁の塗装や屋上の防水加工などを行う必要があります。ここで使われるのが、各戸から毎月徴収される「修繕積立金」です。きちんと積み立てられていればスムーズに大規模修繕は行われますが、積み立てが少ないと最適な修繕が行われなかったり、追加費用がかかったりします。塗装の面積によって費用が決まったり、マンションの規模が大きいほど修繕費もかかったりしますが、規模の大小にかかわらず、外壁塗装のために足場を組む費用は必須です。マンション規模が大きくて戸数が多いほど、効率は良くなると言えるでしょう。例えば、大規模修繕が終わったばかりの物件も狙い目です。大規模修繕が終わっていれば当面の間は追加徴収もなく、しばらく安心して貸せそうです。

本稿では、マンション経営における物件選びのポイントを説明してきました。

・人気のある土地で、住みやすそうな物件を選ぶ
・利回りの良い物件を選ぶ。築浅中古は選択肢のひとつ
・耐震基準をクリアした物件を選ぶ
・投資用ワンルームには注意。できれば購入者本人が居住している割合の多い物件を選ぶ
・マンション規模が大きく、戸数の多い物件を選ぶ

これらのポイントを押さえて、物件選びをしましょう。マンション経営は実物投資であり、株やFXなどと比較してリスクの少ない投資です。本稿が、あなたの安全で安定したマンション経営のヒントになれば幸いです。