銀行の気持ちになって考える、融資したくない本当の理由とは

銀行から融資を断られる理由は「過去に取引実績がない」「属性が低い」「自己資金不足」など、さまざまです。中には、理由もなく一方的に断られるケースもありますし、「債務超過」を理由に断られたオーナーもいるのではないでしょうか。

しかし、実は融資できない本当の理由は、銀行側にはあるのです。一体それは何なのでしょうか。

お断りの理由、「債務超過」が多いのはなぜ?

銀行が融資を断る理由として「債務超過」が多いのは、そもそも融資を打診する前から、懸念事項として自覚しているからです。

債務超過であることは、決算書を見れば一目瞭然です。「債務超過のため」と言われてしまえば、あなたは納得して引き下がるしかありません。相手を最大限に尊重した形でお断りするには、あなた自身が懸念しているところを指摘するのが、最も効果的な方法なのです。

「取引実績」「属性」「自己資金」なども、明らかに懸念されるべき状況のものであれば、銀行からの「お断り」の理由になります。例えば、用意した自己資金がギリギリのラインであった場合、決してそこには言及せず、銀行は明らかに不足している他の理由で断るでしょう。

銀行が重視する〇〇

一方で世の中には、取引実績がなくても、債務超過であっても、問題なく融資を受けられる人がいます。それは銀行から「返済能力がある」と判断された人でしょう。

たとえ今が債務超過であっても、売上金の使途などを明確に説明し、現在起きている問題が一過性のものであり、それがいつ解消されるのかなど、返済能力がある人は経営改善計画を銀行側が納得できるように説明します。その上で、保有物件などから十分な収益が毎年上がっていれば、融資担当者はその人のために稟議を書きたいと考えるものです。

融資審査に通りやすい人の条件として、「属性が高い」「自己資金がある」「担保力がある」などがあげられますが、いずれも「返済能力」という言葉に集約されるのです。裏を返せば、これらのどれかが欠けていても、返済能力がある人と銀行から判断されれば融資は通るということです。

銀行は人を見る

いい物件であれば融資は通る」としばしば言われます。確かに間違いではありませんが、銀行融資は人を見ている場合が多いようです。物件ありきで、不動産会社が融資条件なども載せて販売しているケースがあります。その物件の担保余力を重視しがちな人に限って、「債務超過」という銀行側の断りの理由に疑問を持たず、いつまで経っても物件が買えない人になってしまうのです。

もちろん、物件自体に対する担保余力も返済能力の一部ですから、大事な要素です。しかし、あなたに返済能力さえあれば、物件評価があまり高くなくても、融資は通過するでしょう。

「債務超過」という断りは、「返済能力がない」ということ

融資担当者は、時間とお金をかけて審査する以上、基本的には融資したいと考えています。

仮に「あとひと押し」で審査が通るとなれば、連帯保証人、共同担保、定期貯金など、あなたに何か追加条件を求めるはずです。ところが、「あとひと押し」がなく、「債務超過」などの理由で落とされた時は、銀行から「返済能力のない人」と見られている可能性を考えてください。

そもそも、「債務超過」や「自己資金不足」は、審査前からわかっていることです。事前にわかっていたことを、審査に掛けてから言われるのは、本当の理由が別にあると考えるべきでしょう。

銀行側の都合の場合は理由を言わない

銀行側の都合で融資ができないケースもあります。そのような場合は、一方的に融資ができなくなった旨を伝えられることが多いです。例えば、銀行の貸出先の比率が不動産事業に偏りすぎていると、いきなり不動産融資を止めることがあります。融資担当者の実力不足ということもありますが、その時の金融情勢も関係します。そのような場合は、あなたに原因を求めることもなく、本当の理由も明かされないことが多いのです。

今や多くの方が、銀行評価を意識して不動産を購入しています。ただし、銀行評価の高い不動産が、必ずしも賃貸業にとっていい不動産であるとは言い切れません。銀行があなたに融資したくない本当の理由は、あなたの返済能力にあるということを自覚するようにしましょう。裏を返せば、貸したくなるような返済能力を身に付ければ、銀行評価にとらわれず、賃貸経営に向いた「いい」物件が購入できます。

「融資が通りやすい人」には、いい情報が集まるのが世の常です。「不動産ありき」ではなく、オーナーの資質が問われる時代になっても、確実に生き残れるように自分を磨きましょう。